ディアス闘技場Cブロック1 参謀結成 守護の陣
Cブロック
刃が重なり合う音が各所で鳴り始めたとき ブロック内で一つの陣形が出来ていた
「チッ!! 六つに割れて作戦が狂ったが……
まぁいいぇお前達!! 重要な作戦を忘れんなぇ!!」
「っしゃぁぁ!! モガルシュカを死守しろ!!」
僧侶モガルシュカを中心にそれを囲む数十人の選手が陣を張る その中には
『おぉっと!!? バトルロワイアルで忌み嫌われる行為をしている奴らがいるぞ!!?
企てた人物はなんと……!!
王は存在せず四人の政党者が国を治める 国民が一つになることで平和が保つまさに【奇跡の王国】
人呼んで【党国】より 〝党国バロシアン内閣制第2参謀〟サドン・バロシアンだぁ!!』
歓声と共にサドンは掛けているメガネを片手で上げる
「後々のことは頼みましたよ モガルシュカ」
「任せなさい…… 要は選手を戦闘不能にさせればいいんでしょ?」
僧侶の正装らしい青い衣服を身に纏う 陣の中心で力を溜めるモガルシュカ
その近くでサドンは着々と次の戦略を練っていた
「おいおいディアス闘技場の剣闘士が金で雇われちゃって…… プライドとか無いのかい?」
陣の前に立つ一人の選手
「ハハッ! 所詮金儲け目当てで入った道よ 護衛するだけで金が入るんだぁ残念だったな!!」
先頭に立つ選手は 目の前の選手目掛け巨大な棍棒を振り下ろした
「海賊〝黒旗〟マッド・チェイサー!! その首貰ったぁぁ!!」
棍棒はマッドの頭上の近くまで迫っていた
しかしマッドは紙一重で棍棒を避けて余裕の顔を見せる
「剣闘士マルナタ さらにヴィルチェまで…… 有名な選手が易々と誇りを捨てるとは……」
マッドの哀れな顔で見つめられたマルナタは 微量の汗を流しながらも棍棒を構え直す
「うっ……!! うるせぃ!! 海賊のお前にとやかく言われる筋合いはねぇわ!!」
棍棒で辺りを巻き込んで振り回すマルナタの進撃に対し
マッドはまるで自分が紙のようにヒラヒラと躱していた
「あんたよりもあの参謀と戦ってみたいね~~」
余裕な表情で相手に話しながら空中で剣を抜き
重力を借りながら宙よりマルナタに鋭い突きを与える
「グゥ……!!」
マルナタの体は後ろに押されるもなんとか受け切る
「ハハハ!! すごいねぇ~~」
ーーしかしまぁ……
仮にも同盟を組んでいる奴等と上手い具合に割れるとは
ブロック内で仲間を作っといた方が良いのかどうか
マッドも闘いながら勝つための秘策を考えていた
陣形が作られているところから少し離れた場所でも
ブロック内で一番の大歓声を受ける選手はいる
「おい…… こんな奴に勝てるのか?」
怯え気味の選手の目に映る数十メートル先にいる男
その男のそばに近づく選手はいない というか近づけないでいた
勇気を出して立ち向かう選手もいたが 剣を振り上げるその男に向かって一直線に走り出した途端に
「うぉぉぉぉぉ!! あ あれ……!?」
突如として体は止まった 体にダルさを覚えた
それは次第に増幅し 自然体の動きで地面にめり込む
「あれがヴァース……」
陸軍の軍総督 ……間違いねぇ あの魔法があるからだぁ!!」
選手や観客共々ヴァースの技に圧倒的恐怖を与えられている
「つまんないな~~ もうちょっと立ち向かってきてよ~~」
ヴァースは退屈で地面に胡座をかいて寝そべっていた
また別の場所では 奇妙な空気が流れている
「おい…… 何なんだあのガキぃ……」
選手の見た先にて指を結び 辺りの空気中に様々な種の魔法を使う選手が
「…………」
顔は布で覆われており 目しか見えず性別も判断できない
判断出来ない点でもう一つ それは幅広い分野と種類の魔術を使うこと
そしてその得体の知れない魔法が無限に感じさせるほど さっきから相手選手に放っていることだ
「指と指で印を結びて 神の力を我にお貸し願いたい」
幼い少女の声で何かを唱え始めた呪術師は指と指を結んで魔法を造り出す
さらに体の周りの魔蛍の色が白から一気に緋色に近い赤に変わった
「炎豪の蛍火!」
呪術師の周りに小さな炎の塊が数個出現し 辺りにいる選手目掛け飛び散った
「な! なな…… なんだありゃっ…… ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」
球状の蛍火が一人の選手に触れたとき 一瞬にしてその身を焼き尽くす
「ラルの炎は…… ラルによく引火する……」
『不思議な印でさらに摩訶不思議に妖術を使う 最近名を募らせる知る人ぞ知る人気の呪術師!!
しかし職業の占いはなかなかの不況らしい……
そしてなぜ大会に出ているのかも含めて掴めない奴として注目を浴びる!!
ナルメア・ジュランダル~~~~!!』
「金返せ~~!!」
「早く負けろー!!」
「顔見せろ~~!!!」
ボルマーやモルガナほどでは無いが 観客からの罵声は布を被るナルメアの体に突き刺さる
それでも目は死なず いや選手も見ずに眼瞼を閉じて何かを背負うような覚悟を保っていた
場所は戻り サドンの作った陣形周辺
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
「おい!! なに一人にやられてやがる!?」
「こいつ…… まるで化け物だ!! さっきから斬っても斬っても……」
選手の固める陣を恐れずに 猛獣の如く攻め入る枷を付けた選手
『ルシファード教会幹部 サクバサ・フレイアント様より三人の奴隷が送り込まれているぅ!!!!
各地方の秘境に住処があると言われた 人間との接触を拒む少数民族
その中でも唯一無二の強靭な肉体と戦闘能力を誇る
青紫色の髪と静かで今にも凍てつきそうな獣の目が特徴
ルース族の一人 シャハル・ルースだ~~!!!!』
奴隷シャハルは何度斬られても立ち上がり 陣の右翼側を崩し始めた
「おい! こっちにも人を寄こせ こいつ強ぇぞ!!」
左翼側にも陣を破らんとする一人の若者が攻め入ってきていた
「う~~ん今日も良い天気!! さて人を殺そう!!」
陽気に片足を陣の中へと踏み入れる また別の選手はルーナイトと名乗っている
陣から離れた別の場所にて
「ハァ… ハァ… おい!!」
「ハァ…… なんだ?!」
「あの剣闘士…… おかしくないか?」
「そうやって気でも逸らさせるのか?」
刃を交える二人の剣闘士 その片方が闘いの最中であるにも関わらず話し掛けてきた
「間違いねぇ モーガンだ!」
「はぁ? あの影の薄さと内側に刃がついてる剣を持つっていう有名な?!」
「あぁ…… 影が薄くて大会に参加してるって分かってても最後まで見つけられねぇことで
闘技場の守り神とかで名を売ってる奴だ確か……
俺は爺の代から闘技場を見てるから大体目星は付いていたんだが……」
「へぇ…… じゃあ見れただけ幸運って奴だな!」
「違う違う! ここからが面白いのよ 何でも正体はかつてこの国を地獄のどん底へと誘った
ガルバーク帝国最悪の〝新境地移住計画及び郷土大火事件〟を計った張本人
先代の王〝ガンルイス王〟だという噂がな!」




