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ロストファビュラス主要国議事堂 西の庭園4 カルト・ジン・ハダシュトの昔話 中編


安全な場所を求めて向かう経路だった

行く当ても無く彷徨う俺達は数人の男達に囲まれた


「子供だ! 子供がいるぞ!!」


腰を下ろして俺に尋ねる


「名前と住んでいた場所言えるかな?」


「カルト…… カルト・ハダシュト

南フリカ領コンゴーブタ地区のエボラ川沿いから来た」


「おいっ…… エボラって言ったら」


「お願いします 姉を助けてっ……」


周りの大人の顔を見て俺は息が詰まったね

どう見ても人を助けようとする目じゃなかったからだ


「ウイルス性の感染症が蔓延している場所だ

コウモリや豚から感染する〝エボラウイルス〟が絶えない中……

キャリアによる動物から動物へと伝染を広げる

〝エボラ・リヴァリス〟というウイルスも流行り出したと聞いた」


「…………」


男の一人が聞いてきた


「二人とも病気になったことは?」


「家は主に女性が流行り病に犯されていた……

死は免れたが後遺症は逃れられないと医者が言っていた

男は弟を除いて皆元気…… だった」


「そうか…… 分かった ではお姉さんはこの場に置いていきなさい」


男達が急に俺達から距離を取り始めた


「何で? 助けてくれるんじゃないの?」


「君は助けられる だけどね…… 君のお姉さんは危険なんだ

これから連れて行く避難所には多くの難民がいる

お姉さんの持っているウイルスが空気感染したら二次災害が起こるんだよ」


「……そんな い…… 医者を呼んでくれよ!! 俺働いて返すからさ!!」


その時また別の男がやって来て 俺が背負っていた姉に銃を向けた


「今は悠長にしていられない

悪いがカルト君 今の君を避難所へ案内することは出来ない」


「そんな…… 助けてくれよ!!!」



〝 目の見えないピアスの分 頑張るのよカルト 〟



母の言葉を俺はしっかり守ろうとした

だけど それは目の前の奴らには関係の無いことだ


「仕方ない…… 今回のコンゴーブタ地区での紛争も

エボラ・リヴァリスの措置に国が隔離するだけだったのだから不満が起きてもおかしくない」


「エボラウイルスでさえ

異国のスレイシャガルの助力を得てやっと治療に有りつけたと聞いたからな」



「助けて…… 助けて下さい……! お願いします!!」



正直もしものときは引き返そうと 別の場所へ行こうとも考えていた

だけどそこで退かなかったのは何より 姉を人と見ていない怒りからだった


「すまないなカルト君 もう一度だけお願いする

お姉さんをその場に置いて私達と避難所へ行こう」 


「っ…… 姉ちゃんを…… 助けて下さい!!」


「そうか……」


躊躇無くそいつは俺の負傷している足に銃弾を埋め込みやがった


「殺す気はない だが新たな頼みだ 付いて来るな」


「…………」


だが俺はその場に留まらない

男達も痺れを切らし 後を付いてくる俺のもう一本の足に発砲する


「っ……!!! うぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!

……助けろ!! 助けろよぉ!!! クソぉぉぉぉぉぉ!!!!」


姉を地面に落とすわけにもいかず 必死に両手で自分と姉を支え

それでも男達に付いて行こうとした

彼等は再び立ち止まり 今度は一斉に銃を構え出す


「くっ…… 来るなぁぁぁぁ!!」


「この病原菌がぁ!! 次動いたらお前も撃ち殺すぞ!!」


それでも俺は手を動かす 何でって

姉を救いたいからだよ 自分が姉を守るって誓ったばっかだからだ

唯一の家族を背負って前へ行こうとする俺に

何で奴らは銃を向けているのか当時はそれが反吐が出るほど気持ち悪かった

だが人間は正直だ 俺を化け物を見る目で撃ちまくってきやがったよ

俺は必死に姉を守る壁になって防いださ


「おいやり過ぎだ!」


「いいや…… これが正解だ こいつ意地でも俺達に付いてくる気だったぜ」



「ゆる…… ゆるざねぇ……」



「「「「「 !!!? 」」」」」


アイツらにはどう映ってたんだろうな 俺の姿を

血に染まった身体でもなお立ち上がってくる化け物か 必死に家族を守る子供か

まぁ言うまでもねぇわな


「殺せ…… 殺せぇ!!!」



ーーこいつら…… 俺の家族に銃向けてるんだ 危険な奴らなんだ



血の涙でほくそ笑む俺は正気じゃなかったんだ

そんときは本音で目の前の敵を殺そうと思ったね

だが彼女はそんな俺を止めてくれた


「大丈夫 大丈夫」


「っ……!!!」


それは今まで意識があるのか判らなかった姉の声だった


「怖かったねぇ 辛かったねぇ 苦しかったねぇ」


地面に横たわっていた姉が 壁となって上で身構える俺の顔を優しく包んでくれた


「カルトは強いんだから他の子を虐めちゃだめだよぉ

お姉ちゃんは弱い者を助けるカルトが一番好きだよ」


俺は姉の笑顔に救われた

それは姉を救うことを今考えていなかった意味だと逆に悟る


「ごめんよ姉ちゃん……」


姉を抱きかかえて立ち上がる俺は男達とは違う方向に向かう


「待て 何処へ行く?」


「アンタらには迷惑は掛けねぇよ 俺は姉ちゃんを助けてくれる場所に向かう」


不思議と身体は軽かった 何十発も銃弾を食らったのによ

姉を助ける事だけを考えてたら痛みなんか感じなかった

そんな俺をまだ撃ち足りない奴がいたりするわけなんだが


「おい! もうよせ!!」


「いや…… 危惧しなければならない芽は早めに潰さないとな」


無慈悲にも発砲音が鳴る

死んだなと思えるくらい周りは綺麗な光に包まれていたぜ

だが俺は生きていた


地震に揺れる感覚を覚えたとき 俺が見たもんは俺から目的をかっさらっていったよ


二組を隔てる巨大な扉が出現したのさ

その神々しさは言葉を失う 何より驚いたのはその扉の前に姉が立っていたということだ



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