ロストファビュラス主要国議事堂 会議室3 新大国推薦国家
泣き崩れたマリ・D・ロベスピエーロはジンの席に座らせ
七大国の王達を落ち着かせた後 ジンだけは立ったまま会議は続行し始める
「まずは非礼を詫びる
事前に知っていた害の無い作戦だったとしても大事な会議に支障を来した」
「あぁ…… 一瞬と雖も事件だな」
ジンの謝罪に容赦ない言葉が飛び交う
「発展途上国を信用する者ではないな……
開発したてのミサイルを勝手に飛ばしたりするから怖い」
「トゥ・トア・フリ力を大国の一角にすることもまた間違いなのではなかったか? グラン王」
「…………」
返す言葉も無いのか 積極的に話していた彼はこの時に限って黙っていた
およそ先ほどの事件をどう対処すればいいか分からなかったデベロップは
額の汗を拭き取りながらも頃合いを見て会議を進行させる
「えぇでは…… 当事者マリの意見を取り入れるかですが……」
この一言にすぐに返せる言葉を見つける王はいなかった
「では一騒動もありましたので 三十分の休憩を挟みたいと思います」
これはデベロップ自身の為でもあった さすがに状況を整理しなければと
しかしまたしてもジンが口を開いてそれをさせてくれない
「お前が思っているほど王達は疲弊していない 侮るな
出来ればだがマリの行動を無駄にしないよう ここで結論まで出して頂きたい」
「何勝手言ってんだてめぇ?」
始めから全く席を動かなかったオーガが ここで初めて席を立つ
「さっきから少し調子乗り過ぎだ なんたらフィクサーって肩書きがそんなに偉ぇのか?」
「〝フィクサー・オブ・トラベラー〟だ 極秘な役職なんで深くは言えない」
「「 ………… 」」
「私は大丈夫だ…… 続行しよう
ジンの意見を私は取り入れる 現場に居てくれるマリという者の意思を尊重して結論を出そう」
お茶を一啜りしたグランは既に持ち直しており 周りにもその落ち着いた空気を分け与える
「フン……!!」
いつの間にか掴んでいたジンの胸ぐらを吹き飛ばすかのように腕を離してオーガは席に戻った
「結論か…… 急にそこに持ち込むとなると各々些か黒い部分を出さなければならないな
……なぁデベロップ?」
「…………」
「案件は全て目を通したんだろ?」
「っ……!」
エリツィンはデベロップのいる席まで移動し
円卓の上に一纏めにされた案件の書かれている書類を手に取る
「予想通りだ……
各々を領界内部の〝傘下国〟を〝新大国〟に推薦している内容が書かれている
勿論 私も入れております」
「最終的にはそこで話が本格的になる
むしろ今のエリツィン大統領の行動は強引で自己中心的ですが正しいと見ても良いでしょうな」
「慈悲のお言葉ありがとうございます艶陛下
では進行役 書いてある推薦された国を読んで下さい」
書類をデベロップに返し エリツィンは席に着こうする
その際にエリツィンとグランの二人は一瞬目を合わせ それと同時にデベロップが読み上げる
「最初にライゴク王国 推薦された国は領界内の〝フルパワーセントラル〟
漢の国は〝花の国〟
スレイシャガル国は〝ルードイン共和国〟
マスクーヴァ連邦は〝アルタミクターリ連邦管区ガルバーク帝国〟
尚トゥ・トア・フリカ共和国とリオアトリエはこれに関して提出はされておりません」
「私共の国は民族紛争で正直それどころではありませんので」
「私達空の者は興味ありません 他四カ国の中から合理的にかつ平等に考案を述べたいと思います」
エリツィンはオーガに質問する
「ちなみに不安も兼ねてですが 何故その……
如何にも大国を任せるにそぐわない名前の国なんでしょうか?」
その質問に対して返答したのはガタルゴだった
ガタルゴ「距離が近いのは勿論のこと
ある程度の人間を移住するのであれば色々と面倒も省けるのではという判断ですヌバババ
治めるか治められないかという話ですと
一言でいえば領界の中で最も知的で道徳心を培われた寛容のあるお方 ただそれだけです」
艶「まず簡単に考えられるのはそこだろうね…… 無理もない」
グラン「ほぅ…… まるでこの事態を予期しての花の国推薦かな? 艶王」
艶「ご冗談を…… それは交易国の設置に不満を持っている発言になりますね
一番遠い場所にいる私の心情を察して頂けるのなら これこそ考えるまでもない判断」
グラン「察しの通り冗談だ そうムキに弁解するでない」
艶「ちなみに大国の王の座に就かせるのは花の国の王ではない」
グラン「私も何度か首都に招いておる 〝孫武〟だな?」
艶「はい」
グラン「確かに奴は…… 適任だ」
ここでグランは
「少し私の話を聞いて欲しい」
全員が彼に注目し そんな中でも話が始まる前から興味を抱く人物は言うまでもない
昨晩の例の話をした相手であるエリツィンだった
「私の国からも推薦していたが
敢えて他国を推奨するならば…… 私はガルバーク帝国を強く取り上げる」
「では理由を聞かせて貰いましょうか?」
「元々何故ガルバークが帝国と呼称されているかご存じかな?
その名の通り七大国が結成される遙か昔から近海の国々を統治しているということは
最低でも察している者もいるだろう
世界政府の脅しにではなく 先々代の王は利害一致のもと
一早く加入してくれたことも鮮明に覚えておる
一番に言いたい事は我々のように数ある国々をまとめられる見込みがあるということだ
利益の話をするなり 七大国のバランスを考えたりする上で討論が起きようとも
悪い方向へは行かんと思うぞ」
「確かに他の案件にも移りたいとこですし 悪い方向とは〝振り出し〟に戻ること
そう何日も滞在するわけにもいかない ……だが」
フラメルはグランに問う
「事前に皆が持ってきたことを踏まえて
マスクーヴァの案件と今貴方のおっしゃった国の名が一致したことに不思議に感じたのは
信憑性も含めて何か聞いた方が?」
それに答えるはエリツィン
「勿論最初は違う管区を記入していた 変更したのは昨晩寝室で二人で会話した後だ
理由は今グラン王が話したことを昨晩に耳が痛くなるまで聞かされたから 最終判断は私の意思だ」
「……そうですか 理解しました」
「ちなみに貴方は今のグラン王の説明について何か?」
「……いいえ こちらとしても異存はありません」
振り返るが
昨晩の二人の会話では 確かにグランはガルバーク帝国についてエリツィンに熱弁していた
だがその大部分の会話内容に含まれる〝ネイティビアス〟に関して今
グランの口から出て来なかった事に人知れずエリツィンは安堵していた




