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創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
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海原への旅立ち2 仲間と共に


「乗船って……」


突如放ったカーソンの言葉にニクロは言葉を失う

すると後ろにいたアタランテが彼の肩に手を置いて


アタランテ「ずっと考えてたんだ…… まぁ私は一旦我が家に戻りたかったんだけどね

聞けばこの船にコックがいないって話しじゃないかぁ」


ホット「俺もこの領界を出ると言ったが 特別目的があるわけでも無いしな」


ヴェル「俺は元々家出してきた身だ 帰るつもりも無いし ここに居座る気も無い」


三人の口実を聞いてもニクロはまだキョトンとしている


「不服か? このメンツは?」


「いや…… そんなんじゃ」


ニクロは整理が追いつかず しかしカーソンの言葉に首を横には振らない

考えても分からない感情を無視してニクロはジョッキを持つ


「じゃあニクロ船長!! これからの旅に我ら一同 末永くお願いします!!」


全員が一斉に乾杯し ソレイユブルーを一気に飲み干した

するとニクロに気になる事が


「ダルタは…… やっぱり残るんだな」


一人だけ飲まなずに距離を置いているダルタ


「あぁ…… 行きたいけど やりたい事が見つかったんだ」


「やりたい事?」


カーソンらが出航の準備をしている中

ニクロとダルタは下の船着き場で話していた


「医者…… かぁ……」


「あぁ…… お前がイリアやライトを助けていた時 不思議と高揚したんだ

奇跡で人が生き返る光景を今でも目に焼き付いている」


「ダルタも治癒魔法を会得できる素質はあるんだ がんばれよ!」


「いや目指すのは偉大な魔法使いじゃない」


「え?」


ダルタはニクロに一冊の本を見せた


「〝医学〟……」


「オグル先生の地下室の本棚に数冊あった

魔法ではお前に勝てないからな 俺は科学で俺だけの武器を身に付けたい」



「良いじゃねぇかダルタ!!」



二人の頭上からカーソンが船より降りてきた


「ニクロ! いつでも出航出来るぜ?」


「わかった」


「そしてダルタ」



「何ですか?」



カーソンはダルタの肩を叩き満面の笑みで言う


「魔法じゃ治せない病気なんてものは現実にあるし

もしもこの世界から魔法が無くなればお前の力は偉大になる

そんときは助けを求めるぜぇ?」


「……はい!! 期待してて下さい」


ダルタはカーソンの一言に勇気を貰い 自分のやる事に胸を張れた


「冒険もそうだが 夢の為に進んでいるのならたった一歩でも無駄な事は無い

それさえ理解出来ればあっという間にゴールは目の前にある そうだろ?」


そう言い残して彼は笑いながら船内へと戻って行った


「じゃあお別れだな ダルタ!!」


「あぁ!! お前には感謝している」


「イリアにも挨拶はしてきたが 起きたらお前から言っといてくれ」


「ライトやドルさんにもちゃんと手ぇ合わせてきたのか?」


「忘れるわけないだろ…… 友が眠る墓にもしっかり行ってきたさ」


港に囁くカモメの鳴き声 活気に溢れ漁の成果を自慢し合う漁師達の笑い声

そんな場所からニクロを見送るダルタ 錨を引き上げられて皆は広大な海の先を目指す


「じゃあな!! ダルタ!!」


「あぁニクロ 皆もまた会おう!!」


船尾の部分から手を振るニクロ達に ダルタも両手で手を振り返す

高台から見える 海の上に浮かぶ小さい船をオグルも見送っていた

ニクロ達の船の周りに吹く波風が届いたかの様

イリアが眠る部屋 そして森の奥のライトとドルが眠る墓に吹き渡った



「出航!!」



帆を張り 舵を切り 船は大海原へと乗り出す 舵を握るカーソンに船員が集まっており


「上手いもんですねカーソンさん」


「お前も船長なんだからこれくらい覚えないとな」


「うっ…… 頑張ります」


弱気なニクロにホットがど突く


「仮にも俺等の船長だ その敬語ももうやめろ!!」


「敬語使えとか使うなとか 面倒臭いなぁ……」


皆が笑う中 ヴェルが二時の方向を凝視していた


「おい! 軍船の大群が来るぞ!!」


ヴェルの大声にカーソン達も同じ方向を向く


「あれは…… 【漢の国】の連中か?」


「今回のイベントで集まった無法者を捕えに来たか?」


「俺達運が良かったなぁ!! まだ海賊になったばかりで無名だぜ!!」


ケラケラ笑うホットに対してカーソンは 出来るだけ軍船から離れた方向へ舵を切る


ーーもし海賊旗を掲げてたら あの軍船に立ち向かわなければならないのか


ニクロは冷や汗を掻き 目の前の船群をまじまじと見ていた

漢の国の船がヴァジュラの方へと向かい 自分の船を横切ったあとのニクロ達は安堵する

だがその時だった


「おい! 船をあの遠くにいる船に近付けろ」


軍船に乗る漢の国の一人の武将が部下に命令を下す


「え! し…… しかしあれはただの商船かと?」


「どうした趙炎?」


別の将が趙炎に問い掛ける


「……いや やはり一人で見てくる」


漢の国の燭の将軍の一人である趙炎は愛用の槍を取り出して魔力を集中させた

そして宙に浮いたかと思えばニクロの乗る船へと猛進する


「!!?」


ニクロは即座に気付き 軍船の方を見て構えた


「赤・黄・白・黒 四色合わせて巨聖壁〝ヘイメダル〟!!」


船を覆う透明な壁を出現させるが 趙炎の神器に変わった槍は簡単にその壁を貫いて来た


「な!?」


何が起きているのか分からなかったカーソン達も

二クロの壁が壊されたことで事態を把握し 即座に迎撃態勢に入る

壁を貫いた趙炎は宙で止まり 背後に浮かぶ船へと折り返す


「人知れた奴も多く見るな お前達海賊か?」


船の上に浮かぶ神衣を纏った趙炎に 船内にいる全員は警戒を強めた

その中でも冷静なカーソンは何とか海賊ということを隠す だが


「俺達は……」


「俺達は海賊だ!!」


手に汗握るカーソンが振り返ると 声を荒げたのはニクロだった


「そうか…… 馬鹿正直なお前に礼を言う」


穏やかな波が慌ただしくなり 趙炎を中心に膨大な魔力が吹き出す


「余計な事を言ってくれたな船長さんよ!!」


動揺を隠せないホットにニクロはカーソンに提案を出す


「カーソンさん!! 前に俺達を運んだ風を今出せますか?!」


「……ハハ 無茶言うね!」


そう言ってカーソンは両手に魔力を溜めた


「だがどんなに離れても奴は追ってくるぞ?!」


「そこは大丈夫!!」


何か策があるのか ニクロは皆が安心する笑顔を見せた

それとは逆に不安を煽ぐ存在の趙炎は宙に足を着け バネの様にその場から船目掛けて跳んだ


「神級魔法 生弓天照神の草薙スサノオノクサナギ


槍の先端に膨大な魔力を集め

趙炎自身がまさに矢の如く ニクロ達の船に標準を合わせて一直線に突き進んだ


「タイミングを合わせろよ!! ニクロ!!」


「はい!!」


ニクロは目に魔力を集中し 趙炎の神速を見切る


「巨聖壁〝ヘイメダル・ベルト〟!!」


長方形の巨大な盾を 趙炎の攻撃を防ぐ為に角度を調整して弾きやすいよう構えた

案の定趙炎の身体は真上の弾かれて軌道が変わり カーソンの魔法を放つ絶好のチャンスが訪れる


「掴まれ!! 夜明けの方舟エリク・ノア!!」


カーソンの風は船ごと宙を浮き ヴァジュラから遠く離れた海まで吹っ飛んだ


「まさに伝説の方舟みたいだな」


「船が飛ぶとは……」


海に船が着地すると同時にカーソンもその場に倒れる


「アイツがまだ追って来るかもしれない 気を抜くな」


アタランテが周りに注意を呼び掛けると 五人いた筈の船に四人

と言うよりも船長であるニクロの姿が見えない


「ニクロがいねぇぞ?」


「はぁ!?」




場所はヴァジュラの海上に戻り


「何故お前は逃げない?」


宙に浮く趙炎の見下ろす海は一面が氷り その中心にニクロがいた


「何で逃げなきゃならねぇ 俺はこれから海賊の船長になる男だぞ!!」


二人は構える 今から始まる強大な二極の魔が衝突する



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