友が眠る場所4 王を討ち取る機会
ニクロは目を覚まして顔を洗い 中央の町バラを一望できる高台の端に座って眺めていた
「さて…… どうしようかなぁ
そういえばサクバサの奴…… 約束の日なっても来なかったなぁ……」
ニクロがそんな言葉を吐いていると 向こうからダルタがやって来て
「体調はどうなんだニクロ?」
「もう大分良くなったよ 今日は親友のところへは行かなくていいのか?」
「あぁ ちょっとお前に聞きたいことがあってな」
そう言ってニクロの隣に座るダルタ
「なんだよ?」
「ずっと聞きたかったんだ お前が修行の途中でいなくなったこと」
「あ~~……」
ギルド試験を前にした時期にて
ニクロは急に何処かへと行ってしまった事がダルタの晴れない気掛かりだった
「魔蛍のコントロールをな…… オグル先生には一応言っといたんだ」
「コントロール? どこで? 誰に?」
質問攻めに対して言いにくそうな顔をするニクロ しかしダルタは手加減しない
「あまり話したくはないんだがな…… ダルタは別世界って信じるか?」
「別世界だって!? ん~~ 取り敢えず信じる!!」
微塵も信用してない事はダルタの表情を見てすぐに分かった だけどニクロは話を進める
「魔蛍がね…… ある日話し掛けてきたんだ いや俺が聞き取れるようになったと言うべきか
それでこう言われた 〝黒の放旅者よ ヴィクター・ロードが待っています〟
そして俺は魔蛍達に連れられて 海の果ての氷の大陸に向かい別世界に渡った」
「待て待て!! 氷の大陸!? 魔蛍が話す!? ヴィクター・ロード!!?
ちょっと整理する…… いぃや無理だ!!」
ショート寸前のダルタを見たニクロはクスクス笑い ゆっくりと立ち上がる
「やっぱり信じろって言われても無理だよな……
俺も黒の放旅者なんて呼ばれてもまださっぱり分かんねぇし……
悪ぃ忘れてくれ!!」
「いや…… でも一つ…… 魔蛍って話せるのか?」
家に戻ろうとするニクロを呼び止め 混乱状態なダルタは聞く それに対して彼は笑顔で言った
「あぁ! 魔蛍は生き物だぜ」
そう言ってニクロは小屋へと戻った
そこへホットが帰って来るなりニクロに詰め寄った
「ど…… どうしたんですホットさん?」
「……行ってやれ」
深刻そうな顔はニクロにも分かったが
「どこへ……?」
「地下闘技場だ……」
ホットは今まで見てきたドルとサクバサの一件を話した
「え…… なんで!?」
「…………」
「あれは俺とサクバサの問題だ!! 何でドルさんが……!!」
「そういう奴なんだよ」
ホットは近くの椅子に座り 酒を取り出して口にする
「何も考えずに人を助ける
何年か前も…… 恋人を人質にされて チャンピオンの称号を軽々と捨てた
救えねぇ話 その恋人もグルだったんだとよ」
「そんなことがあったんですね……」
「色々と辻褄の合わねぇ噂だがなぁ」
ダルタも聞いてる中 ニクロは急いで支度をする
「案内してくだいホットさん 地下闘技場へ」
「……さん付け 出来るようになったじゃねぇか……!」
ホットはニクロの頭を叩き その重い腰を上げ 三人でドルが戦う闘技場に走った
正午を回る頃
闘技場の最下階のAA その下にもう一つのフロアがある
特別式で滅多に使われない神聖な闘技場 通称AAA
使用可能な条件は大体オーガが出場時 言い方を変えればオーガに挑む時
故にレートは大国最大
賭ける金額は 最低額でも貧しい国ならば全てを捨てる覚悟をしなければならない
それ程の賭け金が金持ち共と運営側との間で飛び交う
まさに千載一遇 一攫千金の大勝負の舞台となる
観客席を守るは複数の光の壁で囲まれている
そこへ現れたのは 下見をするライゴク王国の大臣 ガタルゴとチャゴだった
「ヌババババ 順調だなチャゴ」
「カッカッカ!! 風の如し!! 王も変な事を考える」
スタッフも準備を終える中 ガタルゴが聞く
「王の調子はどうかな?」
「ガタルゴ様!! それが……」
スタッフの怯える表情に二人はすぐさま控室に向かった
そこ映るは壁という壁が大破した 何かが爆破したような跡地になっていて
「王よ…… 戯れが過ぎますぞ」
ガタルゴが見る先には すでに温まってるかのように床に座るオーガがいた
「アイツは出ねーのか?」
「アイツとは?」
「四年前のあのガキだぁ!!」
「あぁ…… そういえば言うのを忘れてました」
「あぁ?!」
そう言ってガタルゴは オーガに新聞を見せた
「奴隷国死滅?? ラウル死亡!!!?」
オーガは新聞をぶん投げ フロア全体に響き渡る叫び声を上げた
「ガタルゴォォォォ!!!! 今すぐガキを生き返らせろぉぉぉ!!!!」
「無理です」
オーガを宥める役をチャゴに任せ
ガタルゴはスタッフと共にもうすぐ始まる試合の参加メンバーを見に行った
別の控室には既に数十人の参加者がどいつこいつも心身を滾らせている
「オーガリングからは三番人気フェリックス・ウリエ
六番人気のグスタフ・ラジエンタ 七番人気のガブリィ・ベンジャミン
何より一番人気の〝第七天〟と呼ばれるフリード・サンダルスゾーンが出場します
その他からも王を討ち取りたい賊や他領界からの刺客…… なども情報が来ています
……危険ではないのでしょうか?」
「ヌバババ そのような心配はうちの王には効かん」
ーーギルドの奴等もいるな 意外に集まって王も喜ぶだろう
……いや厳しいか? ヌバババ
控室では参加者同様ドルもまた 手にバンテージを巻きながら集中していた
地下闘技場の外では着々と観客が集まって来ている
あのオーガを倒せる奴がいるのか ほとんどの目当てがそれだろう
そんな中でニクロ達も到着
「チケット買っといて!!」
「どこ行くんだニクロ?!」
「サクバサを捜してくる!!」




