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創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
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友が眠る場所2 今だからこそ宴のとき


カーソンは地下室で本を夢中で読んでいるとドルがやって来て


「こんなとこにいたか えーと…… カーソン!」


「そろそろ名前覚えてくれ……」


「良い酒が入ったんだ ニクロも動けるようになったし宴もまだだろう?」


ドルの屈託無い笑顔に対してカーソンは深刻な顔で言う


「今回どれだけ仲間の死を見てきたと思ってんだ 悪いがそういう気分にはなれない」


「……そうか」


そう言われるドルはカーソンに背を向け 去り際にボソッと一言呟く


「皆はもう準備してるんだけどなぁ……」


「な!?」


カーソンは地上へ登って小屋から出る

そこに映るは 野原で着々と宴の準備をするダルタ達の姿が


「おいニクロ! まだ完治してねぇんだから寝てろ!」


「このくらい出来るわ!!」


薪組み用の丸太を運ぶニクロから ダルタは必死に取り上げようとする


「二人共元気だね~~ もうすぐ暗くなるから急ぎな!!」


小屋の手前で料理の支度をするアタランテ

そしてその横ではヴェルが野菜の皮を剥いていた


「俺の爪使って良い?」


「絶対駄目! 汚い!」



「おーい! 肉の用意出来たぞ!」



そして小屋の裏からは 鹿を仕留めて捌いていたホットが素材を調理台に並べる


「ちょっとちょっと!! 料理はアタシの担当だよ?!」


「肉のことなら現狩猟者に任せておけ 男の料理を振舞ってやるよ」


「男の料理ってだけで品性が微塵も無いんですけど……」


何も無かったかのような 賑やかな景色にカーソンは唖然と立っている

その隣にドルもやって来てカーソンの肩を軽く叩いた


「人の死を大事にするのは分かるけどな 俺達が生き残ったのも事実だろ?

生きてる今 皆がいるこの時に一回くらいは

互いに飲み食いどんちゃん騒いだって良いと思うんだが?」


「……こういう場合は常に人知れず 一人で祝うのが常識だと思ったが」


カーソンは肩に置かれたドルの手を振り払い ダルタ達が準備している薪組みの手伝いに赴いた


ーーこういうのも悪くないな




「では! ドルさんに乾杯の音頭をお願いします」


中央の薪組みをニクロ・ダルタ・ヴェル・オグル・カーソン・アタランテ・ドル・ホットが囲み

ダルタに指名されたドルが立ち上がる


「えー…… 今回の試験!! 誰も合格出来ないという結果になりましたが!!」


小粋なギャグで辺りにせせら笑いが聞こえる


「笑う事もあれば 笑い事にしてはいけない様々な現実が俺達に迫りました」


「らしくねぇぞ! 元AAチャンピオン!!」


ホットの野次にドルはノリで怒りながらも木樽ジョッキを掲げ

各々も酒を注がれたジョッキを構える


「しかし俺達もまた生きている!!

勇敢な死を遂げた同胞達とこれからまた明日を頑張る俺達に乾杯!!!!」


「「「「「 カンパーーーーイ!!!! 」」」」」


全員が酒を一気に飲み干し 薪組みにも火をくべられ


「アッハッハッハ!!」


「ヘイヘイ!! ノッてこいノッてこい!! 今日は遊宴だぁ!!」


アタランテとドルは早くも陽気になり 火の回りを踊り歩く

食うことに夢中のニクロやヴェルに目を付けるなり 強引に引っ張り出していた


「ハハハ! いいぞぉ!!」


「「 お前も踊れ!! カーソン!! 」」


躙り寄るアタランテとドルから火の回りを逃げるカーソンだが

酔っているニクロとヴェルに捕まる


「おぅし!! 俺もそろそろ踊るかね~~ 行くぞダルタ!!」


「マジですか?」


「……オグルも来るか?」



「ワシはここで待ってるよ 踊るのはちとキツい」



ホットが立ち上がるとダルタの腕を掴み 皆の輪に無理やり放り投げた


「「「 ダルタ!! ちゃんと踊れ!! 」」」


いつの間にかオグルの見る先には 七人全員が踊り回っている絵が出来ていた

それを肴にオグルは酒を飲みながら楽しんでいる


数時間が経って さすがにニクロ達は酔いと疲れで踊るのを止めた

ドルとアタランテはすっかり意気投合し 酒を注ぎ合っている


「いやぁ…… 楽しい楽しい」


ホットがカーソンと飲んでいるとダルタが寄って来て


「男の料理上手かったです ホットさん」


ホットとカーソンにお酒を注ぐダルタはふとホットに質問する


「そういえばホットさんとオグル先生って仲悪いですよね?」


その質問にホットは急に黙り そしていきなり腕でダルタの首を軽く締めた


「空気読めガキぃ!! ハッハッハ!!」


「ダルタ…… そういうことは気軽に聞くもんじゃないの!」


ダルタは苦しみながらもその場で謝り続ける


「別に気まずくなる訳じゃあるまいし 良いじゃろ?」


「オグル……」


酒瓶を片手にオグルがホットの隣に座り 酒を注いだ


「オマがワシを嫌うのは単純なことよ 

何せワシはオマの人間国宝という肩書を消した王の父親なのだからな」


「「 え……?  えぇ!!!? 」」


思わずダルタとカーソンは大声を上げた その声で半ば眠っているニクロも起きる


「えっ? 先生ってあのオーガ王のお父さんだったんですか?」


「本業って…… まさかの先代国王……」


「ワッハッハ!! もうずっと昔の話じゃがな…… 

改めて〝元ライゴク王国三代目国王オグル・バルトノヴァ〟じゃ」


急な圧力に二人は委縮し始める


「言われてみれば顔も似てるな……」


「確かに……」



「ワッハッハ……!!」



さっきと打って変わって口数が減るカーソン

元大国の王が目の前に急に現れるなどそうあることではない


「俺はもうこの島を出るし もうアンタに恨みをぶつけることもしねぇよ」


「そうかい…… いつの間にかワシの弟子は皆成長しよる」


オグルは嬉しいのか 酒を豪快に飲み干しただ笑う

月の動きは止まることは無く 日の出が見える頃には

いい大人と少年達は草原で眠っていた



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