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ルシアの決意
翌日。
ルシアが中庭へ行くと、カイルは木の下にいた。
本を膝に置いたまま、目を閉じている。
「……カイル様?」
返事がない。
眠っているらしい。
ルシアは少し離れたところに立ったまま、その姿を見つめた。
疲れている。
自分が知っている以上に。
昨日のことが頭をよぎる。
「大丈夫だから」
いつもとは違うカイルの声。
あんな言い方をするほど、追い詰められている。
ルシアは胸の前で手を握った。
カイルは自分を選びたいと思ってくれている。
それなのに、そのせいで王様と向き合い、王族としての責任まで背負っている。
自分がいなければ。
そんな考えが、頭から離れなくなっていた。
もちろん、カイルが自分を大切に思ってくれていることは分かっている。
だからこそ、言えなかった。
「私がいなければ、カイル様はこんなに悩まなくて済むのに……」
小さく呟く。
カイルが目を覚ます前に、ルシアは中庭を出た。
その夜。
自分の部屋で荷物をまとめながら、ルシアは何度も手を止めた。
カイルに何も言わずに離れる。
それが正しいのかは分からない。
きっと、カイルなら止めてくれる。
だからこそ、直接顔を見たら行けなくなる。
ルシアは最後に一度だけ中庭のことを思い浮かべた。
「……ごめんなさい、カイル様」
そして、静かに荷物をまとめ終えた。




