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少し休んで
数日後。
その日もカイルは中庭にいた。
いつものように木の下で本を開いている。
けれど、ページはほとんど進んでいなかった。
ルシアは隣に座り、しばらくカイルの様子を見ていた。
「カイル様」
「ん?」
「少し休んだほうがいいんじゃないですか?」
「僕は大丈夫だよ」
「でも……」
ルシアが心配そうに顔を覗き込む。
カイルは本から目を離さずに答えた。
「大丈夫だから」
その声は、いつものカイルとは少し違っていた。
普段なら、もっと穏やかに笑ってくれる。
けれど今は、どこか余裕がない。
ルシアは言葉を失った。
カイル自身も、自分の言い方に気づいたのか、しばらく黙っていた。
やがて本を閉じる。
「……ごめん」
「いえ……」
「ルシアに言うことじゃなかったね」
そう言って、カイルは小さく笑った。
けれど、その笑顔もどこか疲れていた。
ルシアは首を横に振る。
「私こそ、ごめんなさい」
カイルは何も言わず、閉じた本を膝の上に置いた。
二人の間に、しばらく静かな時間が流れた。
ルシアはカイルを見つめながら思った。
カイルは、自分のためにここまで悩んでいる。
そして自分の前では、それを隠そうとしている。
そのことが、ルシアの胸に残った。




