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ひとりで抱える
隣国の一行が帰国してから、カイルは以前よりも考え込むことが増えた。
ルシアは、その理由を知っている。
王様から、隣国の王族との婚約を正式に進めたいという話が出ている。
カイルが悩んでいるのは、ルシアとのことだった。
二人で中庭にいる時も、カイルは本を開いたまま、しばらくページをめくらないことが増えた。
「カイル様」
呼びかけると、カイルはゆっくり顔を上げる。
「……ん?」
「最近、ずっと考え事をしていますよね」
「そうかな」
カイルは少し苦笑いを浮かべた。
「ルシアには、もう話したことだから」
その言葉に、ルシアは小さく頷く。
「はい。隣国との婚約のお話ですよね」
「うん」
カイルは視線を落とした。
「自分の気持ちは決まってるんだけど……王族として、どうするのが一番いいのかは、簡単じゃないみたいだね」
ルシアは何も言えなかった。
カイルの気持ちは知っている。
自分と一緒にいたいと言ってくれたことも。
だからこそ、苦しかった。
自分がいることで、カイルは王族としての立場と、自分との未来の間で悩み続けている。
それが、少しずつルシアの心に重くのしかかっていった。




