↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
65/84

立場

隣国の一行が帰国してから、数日が経った。


その日の午後。


カイルが執務室で仕事をしていると、王様から呼び出しがあった。


カイルは王様のもとへ向かった。


「カイル、少し話がある」


「はい」


カイルは王様の前に座った。


王様は少し間を置いてから、口を開いた。


「先日来ていた隣国の姫だが……向こうから正式に婚約を進めたいとの申し出があった」


カイルは静かに聞いていた。


予想していた話だった。


それでも、実際に言葉にされると胸の奥が重くなる。


「……そうですか」


「まだ最終的な決定ではない。だが、相手側は前向きに話を進めたいと考えているようだ」


カイルはしばらく黙っていた。


そして、ゆっくりと顔を上げる。

「父上」


「何だ?」


「僕には……心に決めている人がいます」


王様の表情が変わった。


「心に決めている人?」


「はい」


カイルは迷わず続けた。


「僕は、その人とこれからも一緒にいたいと思っています」


王様はしばらく何も言わなかった。


やがて、静かな声で言う。


「カイル。お前が誰を想っているのかは、いずれ聞こう」


「……はい」


「だが、自分の立場をよく考えなさい」


カイルは黙って王様の言葉を聞いた。


「お前は王族だ。自分の気持ちだけで決められないこともある」


「分かっています」


「ならば、感情だけで答えを出すな」


カイルは俯き、静かに息を吐いた。


「……はい」


王様の言葉は、それ以上続かなかった。


けれどカイルには分かっていた。


これから、自分の気持ちだけではなく、王族としての立場とも向き合わなければならない。


それでも――。


心に決めた人がいることだけは、もう隠さなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。