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隣国の王族

その日の朝。


ルシアはいつもより少し早く仕事を始めていた。


今日は、隣国の王族が城を訪れる日。


数日前にカイルから聞いていたため、ルシアもそのことは知っている。


城の中も、朝から普段より慌ただしい。


「今日なんですね……」


仕事をしながら、ルシアは小さく呟いた。


カイルは今日、王族として隣国の一行を迎える。


いつもの中庭で見せる穏やかな姿とは違う、王子としてのカイルを見ることになる。


やがて、城の外から馬車の到着を知らせる声が聞こえた。


隣国の王族が到着したのだ。


ルシアは仕事の合間に、遠くから出迎えの様子を見た。 


カイルは王族の列の中に立っていた。 


姿勢も表情もいつもよりきちんとしている。


隣国の王族が近づくと、カイルは丁寧に挨拶をした。


「遠いところを来てくれてありがとう」


「こちらこそ、お迎えいただきありがとうございます」


二人は言葉を交わす。


ルシアは少し離れたところから、その様子を見つめていた。


すると、カイルがふとこちらを見る。


一瞬だけ目が合った。


カイルの表情が、ほんの少し柔らかくなる。


ルシアも小さく微笑んだ。


その後、隣国の一行は王様との会談へ向かっていく。


カイルもそのまま同行する。


ルシアはその背中を見送りながら、胸の中で思った。


今日から、少しずつ何かが動き始めるのかもしれない。


それでも――。


カイルと自分の気持ちは、何も変わっていない。


そう思いながら、ルシアは自分の仕事へ戻っていった。

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