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嫉妬

午後の廊下で、ルシアは侍女仲間たちと話をしていた。


「この前のお仕事、大変でしたね」


「そうなんです。でも、みんなが手伝ってくれたので助かりました」


そこへ、同僚の青年がやってくる。


「ルシア、この前の書類できたよ」


「ありがとうございます」


「それにしても、あの書類すごい量だったね」


「本当に大変でした」


二人は顔を見合わせて笑った。


その様子を、少し離れたところからカイルが偶然見ていた。


楽しそうだな。


そう思いながら眺めていると、青年が言った。


「そういえば、ルシア。今度の日曜――」


「ルシア」


カイルが声をかけた。


「カイル様?」


ルシアが振り返る。


「ちょっと来てくれる?」


「はい……?」


ルシアは青年のほうを見る。


「すみません。今、この方とお話をしているところで……」


「うん。わかってる」


カイルはいつもと変わらない穏やかな顔をしている。


「でも、少しだけ付き合って」


「……はい」


ルシアは不思議そうにしながら、カイルについていった。


廊下を歩きながら、ルシアはちらりと隣を見る。


今日のカイル様、なんだか珍しいな。


いつもなら、私が誰かと話していても、そのまま通り過ぎるのに。


けれど、特に理由を尋ねることはなかった。



数日後。


また廊下で、ルシアはあの青年と話していた。


「この前の話なんだけど」


「はい?」


青年が笑う。


「今度の日曜――」


「ルシア」


またしても、カイルの声がした。


青年の言葉が止まる。


ルシアも振り返った。


「カイル様?」


「うん」


カイルは二人のところまで歩いてくる。


「ちょっといい?」


「はい」


ルシアは青年に軽く頭を下げて、カイルのところへ行く。


青年はその背中を見送った。


カイルは何食わぬ顔で歩いている。


けれど心の中では――。


またやってしまった。


「今度の日曜」と言われただけなのに。


一度目なら偶然。


二度目は……もう偶然とは言えない。


カイルは自分でも呆れていた。


――僕、こんなに嫉妬深かったっけ。


それでも、ルシアの隣を歩けることに少しだけ満足してしまう。


我ながら情けないと思いながら、カイルは何もなかったような顔をしていた。

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