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全部やってしまう

公務から戻った翌日。


ルシアはいつも通り、朝から忙しく働いていた。


専属侍女になってからは、カイルの身の回りの仕事に加えて、以前から担当していた仕事も残っている。


「これが終わったら、次は……」


ルシアが次の仕事へ取りかかろうとしたとき、カイルが執務室へ戻ってきた。


「ルシア」


「はい?」


「まだ仕事してたんだ」


「はい。まだ少し残っているので」


カイルは机の上に積まれた書類を見る。


かなりの量だった。


「……多いね」


「今日中に終わらせれば大丈夫です」


ルシアはいつものように笑って答えた。


カイルはそれ以上何も言わなかった。


ただ、ルシアが別の仕事を取りに部屋を出たあと、残っていた書類を手に取る。


そして、静かに片づけ始めた。


ルシアが戻ってくる頃には、かなりの量が終わっていた。


「……あれ?」


ルシアが机の上を見る。


「これ、カイル様が?」


「うん」


「でも、私の仕事です」


「知ってる」


カイルは穏やかに答える。


「でも、もうほとんど終わったよ」


「カイル様……」


ルシアは困ったように笑った。


「そんなにしていただかなくても」


「うん。でも、今日は僕がやりたかったから」


それ以上は何も言わない。


ルシアは少し考えたあと、残っている仕事を確認する。


「……ありがとうございます」


「どういたしまして」


その日の仕事は、いつもよりずっと早く終わった。


夕方。


ルシアが片づけを終えると、カイルが立ち上がった。


「ルシア」


「はい?」


「少し中庭に行かない?」


「いいんですか?」


「今日はもう終わったから」


二人で静かな廊下を歩く。


中庭に着くと、いつもの木の下へ向かった。


ルシアは小さく息を吐いて、木のそばに座る。


「……久しぶりに、ゆっくりできます」


「最近、忙しかったからね」


「はい」


カイルも隣に座る。


ルシアは空を見上げながら、嬉しそうに笑った。


「やっぱり、ここ好きです」


カイルはそんなルシアを見ながら、何も言わずに微笑んだ。


こうして仕事の合間にもルシアと一緒にいられるようになったことを、カイルは心の中で静かに喜んでいた。

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