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仕事に戻る

翌朝。


熱は下がり、ルシアはいつもの侍女服に着替えていた。


「もう少し休んでいてもいいんですよ」


侍女長にそう言われたけれど、ルシアは首を横に振る。


「ありがとうございます。でも、今日はもう平気です。昨日お休みした分もありますし」


「無理はしないようにしてくださいね」


「はい」


ルシアは笑って、仕事へ戻った。


昨日一日休んだだけなのに、久しぶりに城の廊下を歩くような気がする。


洗濯物を運び、書類を届け、頼まれた仕事を一つずつ片付けていく。


体はまだ少し重い。


けれど、昨日よりずっと楽だった。


昼前。


ルシアが廊下を歩いていると、向こうからカイルがやってきた。


「ルシア」


「カイル様」


ルシアは足を止める。


カイルは一瞬、ルシアの顔を見てから、


「……仕事してる」


「はい。今日から戻りました」


「もう熱は?」


「下がりました」


「そっか」


安心したようにカイルが微笑む。


「でも、今日はゆっくりでいいよ」


「ちゃんとゆっくりしています」


「昨日も似たようなこと言ってたね」


「……」


ルシアは少し気まずそうに笑った。


「今日は本当に大丈夫です」


カイルはそれ以上言わず、代わりにルシアが抱えていた書類の束を一つ受け取った。


「じゃあ、これくらいは僕が持つよ」


「えっ、でもカイル様が?」


「たまたま通りかかったから」


そう言って、カイルは何でもないことのように歩き出す。


ルシアはその後ろ姿を見ながら、小さく笑った。


昨日のお見舞いのときから、カイルが少しだけ過保護になっている気がした。

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