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伝えたい言葉

翌日の夕方。


ルシアが中庭へ向かうと、カイルはいつもの木の下で待っていた。


いつもと変わらない場所。


いつもと変わらない時間。


けれど、カイルの表情は少しだけ違っていた。


「カイル様、お待たせしました」


「ううん。今来たところだよ」


ルシアが隣に座る。


しばらく二人で話していたけれど、カイルは何度か言葉を探すように黙った。


それに気づいたルシアが首を傾げる。


「……どうしました?」


「うん。ちょっと、緊張してる」


「カイル様が?」


「僕だって緊張するよ」


そう言って、カイルは小さく笑った。


そして、ルシアのほうを向く。


「昨日、言ったこと覚えてる?」


「はい」


「僕、ルシアに伝えたいことがあるって言ったよね」


ルシアの胸が高鳴る。


「はい……」


カイルは少しだけ息をついてから、ゆっくりと言葉を続けた。


「ずっと考えてた」


「ルシアと一緒にいると楽しい」


「会えると嬉しいし、会えないと寂しい」


「ルシアが笑ってると、僕も嬉しくなる」


一つ一つ、確かめるように話す。


「最初は、どうしてこんなにルシアのことが気になるのか分からなかった」


「でも、もう分かったんだ」


カイルはルシアをまっすぐ見た。


「僕は、ルシアが好きなんだと思う」


ルシアの目が大きくなる。


カイルは少し照れながら、それでも言葉を止めなかった。


「友達としてじゃなくて……もっと特別な存在として」


「だから」


一度だけ言葉を切る。


「僕と、恋人になってほしい」


静かな中庭に、その言葉が響いた。


ルシアはしばらく何も言えなかった。


嬉しくて、胸がいっぱいになる。


そして、ゆっくり笑った。


「……はい」


カイルが目を瞬く。


「はい、って……」


「私も、カイル様が好きです」


ルシアは少し恥ずかしそうにしながらも、はっきりと言った。


「ずっと一緒にいたいって思ってました」


カイルの表情が、ふっと柔らかくなる。


「……そっか」


「はい」


「よかった」


カイルは心から嬉しそうに笑った。


ルシアもつられて笑う。


いつもの中庭。


いつもの木の下。


何も変わっていないはずなのに、二人にはすべてが少し違って見えた。


カイルは隣にいるルシアを見て、嬉しそうに微笑む。


「これからも、ここで一緒に過ごそうね」


「はい」


ルシアも笑って頷いた。


二人の間に流れる時間は、これから少しずつ変わっていく。


それでも、この場所で過ごす時間だけは――

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