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自然
その日の中庭では、いつもより長く二人で過ごしていた。
猫が二人の間で丸くなっている。
ルシアはその背中を撫でながら、ふとカイルの手元を見た。
「カイル様、今日は何を読んでいるんですか?」
「これ?」
カイルが本の表紙を見せる。
「庭の植物についての本だよ」
「植物……?」
ルシアが少し身を乗り出す。
「この前、庭師さんのお仕事を見せてもらったので、ちょっと興味が出てきました」
「じゃあ、見てみる?」
カイルは本をルシアのほうへ傾けた。
「はい」
二人で同じページを見る。
以前なら自然だった距離。
けれど、少し離れていた時間があったせいか、ルシアはどこか懐かしく感じた。
「この花、きれいですね」
「中庭にも似た花があるよ」
「本当ですか?」
ルシアが顔を上げる。
「あとで探してみようか」
「はい」
嬉しそうに頷いたルシアを見て、カイルも微笑む。
そのとき、猫がルシアの膝へ前足を乗せた。
「わっ」
「気に入られたね」
「ふふ……また来てくれました」
ルシアが猫を抱き上げようとすると、猫はそのままカイルのほうへ移動した。
「今度はカイル様です」
「僕にも来たね」
猫を二人で撫でながら、自然と顔を見合わせる。
ルシアは少し笑って、
「明日も来てもいいですか?」
と尋ねた。
カイルはすぐに頷いた。
「うん。待ってるよ」
今度はルシアも、迷わず笑った。




