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出会い
二人は並んで中庭を歩き、城へ続く道の手前まで戻ってきた。
ルシアは腕の中の猫を見下ろして、ほっと息をつく。
「見つかってよかったです」
「うん」
カイルは穏やかに頷いた。
ルシアはそこで、ふとカイルの手にある本へ目を向ける。
「カイルさんは、ここでいつも本を読んでるんですか?」
「そうだね。人が少なくて、静かだから」
「なるほど……」
ルシアも中庭を見回す。
確かに、城の中とは思えないほど静かだった。
「私もここ、好きになりそうです」
「じゃあ、また来ればいいよ」
「本当に?」
「うん」
カイルはいつもの穏やかな調子で答える。
「ここなら、誰かに邪魔されることもあまりないから」
「じゃあ、また来ます!」
ルシアは嬉しそうに笑った。
「カイルさんも、またここにいますか?」
「たぶんね」
「じゃあ、また会えますね」
そう言って、ルシアは猫を抱いたまま城へ戻っていく。
カイルはその背中を見送った。
そして、再び木の下へ戻る。
さっきまでと同じ場所。
同じ静かな中庭。
けれど――。
本を開いても、なぜか先ほどの明るい笑顔が頭に残っていた。
カイルは小さく息を吐いて、もう一度本に目を落とした。




