番外編⑥〜第2回サウナ大会〜
番外編⑥〜第2回サウナ大会〜
ピピピっとアラームの音が鳴り
高松先輩が体を起こし
「さぁ、お風呂へ行きますよ。
今度は高杉先輩も桂先輩も参加ですからね。」
それを聞いた高杉先輩が
「よっしゃ!待っちょったぜ!!」
「昼間のは自業自得やろが、アホ。」
と桂先輩に冷ややかな目で言われてたけどな。
「着替えを忘れずに持って行って下さいよ。」
と高松先輩に言われつつ、俺達は大浴場へ
ぞろぞろと移動した。
この時間になると入浴だけの人は少なくなるなぁ。
ロッカーに着替えを置き浴衣を脱いで
お風呂へ入ると
皆は黙って洗い場へと行き体を洗い出した。
サウナの前で集合し高松先輩が
「田中君が少し慣れてきた様なので
少し長めのサウナタイムにします。
あ、田中君は濡れタオルを頭に巻いて下さい。」
そう言われたから近場のシャワーでタオルを
濡らして頭へと巻き付けたが……
落ちる!!え?タオル頭に巻くこと
無いからできねぇ!!
乃木がスタスタやってきて
「ちょっと見せて。ん〜これで良し。
どう?キツくない?」
「サンキュー!キツくないし、落ちない!」
「良かった。入ろうか。」
乃木と2人で入るとそこは……
異様な空気に包まれていた。
え?先輩達まだ入って数秒だよな?
なんで全員上に座って腕組んでんの?
「田中君、上の段に座ってみて下さい。
熱いようなら下へ移動しても構いませんから。」
「はい、わかりました。」
高松先輩にそう言われて
今回は上の方に乃木と並んで座った。
「上って思ったより熱いんだな。」
「うん、でもここは少し低めだよ。」
「そうなのか?俺サウナで上の方に
座ったの初めてでさ。」
そうやって話していたら高松先輩に
「上の方に座るのは慣れている人ですから
慣れてない時に下の方に座るのは
正解ですので大丈夫ですよ。
今回は先程3セット行い少し
慣れてきた様ですし、私も松本先生も
いらっしゃいますから
上の方に座る経験もいいかと思いまして。」
なるほど。ちゃんと色々考えてくれてんだな。
「うむ、上の方に座りしっかり汗を流せ。
のぼせそうなら言うがいい。
外まで運ぼう。」
松本先生に運ばれんのだけはイヤだけどな。
何が悲しくて男にお姫様抱っこされなきゃ
いけないんだよ。
……まさか米担ぎ型とか言わないよな!?
松本先生ならやりかねねぇわ!こわ!
絶対に無理はしない!!
「田中、心配せんでものぼせたら
俺が水風呂へ引きずっていっちゃるけ!」
「え。高杉先輩に運ばれるくらいなら
松本先生に頼みますけど。」
「なんじゃと!?」
「高杉、大きい声出すな。
運ばれるんはお前の可能性もあると思うちょけ。」
「俺はそんなアホなことせんし!!」
「は。どうだかな。」
「じゃ、勝負するか?」
「する訳ないだろう。
保健委員と校医が目の前にいるんやぞ?」
「高杉、10分経ったら俺が
水風呂まで運んでやるからな!」
「げぇ。……チッ。わぁーったよ。」
と大人しく高杉先輩は腕組んで座り直した。
やっぱり松本先生に運ばれるのは嫌なんだな。
その気持ちはめっちゃ分かる。
そんなこんなでジッとしてたら
じんわり汗かいてきた。
ピピピっとアラームが鳴り
「では皆さん水風呂へ移動です。
汗を流してから軽く拭いてから入るように。」
高松先輩の一言で桂先輩からサウナを出た。
高杉先輩は松本先生をチラチラ見ながら
ササッとサウナを出たのが面白すぎる。
松本先生は新撰組に豚を飼うことで
タンパク質を取らせ筋トレもさせて
新撰組の体力向上させたとされてるし
何より軍医の中でもトップに立った男だ。
痛み止めや麻酔が無かった時代だし
患者を押さえつけながら処置とかしてた
はすだからな。自分も鍛えてたはずだよな。
割と筋肉至上主義の松本先生だ。
そんな先生に逆らえるかと言われるとムリ!
ってなるのが普通だ。
さて、水風呂だ。
ゆっくり入って乃木の隣まで静かに歩き
ジッと深呼吸して冷たさに耐える。
数秒経つと冷たさが和らぐんだ。
ふと乃木が俺を見て
「田中、羽衣出来てるね。良いことだよ。」
「羽衣って?」
「水温と体温の差でできる膜のことだよ。」
「へぇ。……あ、本当だ。
なんか膜みたいなのある。」
「大きく動くと破れちゃうから、そのままで。」
「了解。」
ピピピっと音が鳴って水風呂から出た。
「さぁ、外気浴しに行きましょう。」
高松先輩は体を軽く拭きつつ
そう告げて歩き出した。
俺達も体を拭きながら歩いていく。
椅子に座りライトアップされた露天風呂を
眺めつつ深呼吸する。
ゆっくりと眠気が襲ってくる。
ピピピっとアラームで起こされるんだけどな。




