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第108話 運搬メンバー

「そうと決まれば、まずはコイツらだな。ここに置いといたらどうなるかわからんから、村に連れて帰るか」


 ドラクハイム兵に関してはアラヤ村に連れ帰ることにしよう。セルヴァンの取り巻きに任せると、ちゃんと尋問が行われるかどうか怪しい。“プレイヤー”につながる情報が得られるかもしれないのだから、下手な扱いをされては困るのだ。


 ついでに参考資料として銃も数本頂いていくとしよう。詳しい人なら仕組みがわかるかもしれん。誰に聞けばいいのかすらさっぱりだが。


「全員連れ帰るのですか?」


 ピエールが少し面倒くさそうに言った。気持ちはわからなくもない。帰還魔法を使えば一瞬で戻れるとはいえ、反抗的な人間も一緒にとなると少し手を焼くことになりそうだ。向こうで暴れて逃げられたら目も当てられない。安全を期すなら少数ずつということになりそうだ。そこまでして、全員を運ぶ意味はあるのかということかな。


「まぁ、下っ端兵が持ってる情報なんて大差ないかもしれないな。だが、銃のこともあるし、しっかり精査したい。そのために、できるだけ情報源は多いほうがいい」

「なるほど。そういうことでしたら応援を呼んだほうがいいでしょうな」

「そうだな」


 ドラクハイム兵は十五人。俺とレン、ピエールの三人で五人ずつ運ぶというのは現実的じゃない。一度出直して、運搬要員を連れてこよう。ユーリッドの国民を刺激しないように人数を絞っていたが、今さらそのような配慮は必要ないしな。


「ピエールはここで見張っておいてくれ。俺とレンで適当に人を連れてくる」

「わかりました。できましたら、ルイとイザベラも呼んでください」

「そうだな。わかった」


 いつものことながら、ピエールに居残りを頼む。本当は、エルフへの対応役としてレンも残したいんだが、ユーリッドに戻るためにはレンに帰還魔法を使ってもらわなければならない。世界樹にアクセスできるなら、俺一人でも大丈夫なんだが……さっき試してみれば良かったな。


「じゃあ、レン」

「わかりました。アルネイ、あなたはピエールさんと一緒に残って、事情を説明してちょうだい」

「私がですか!?」


 レンの代役には、アルネイが指名された。当の本人は困惑しているが、レンは構わず指示を出す。


「そうよ。ピエールさんに失礼を働く者がいるかもしれないから気をつけて。こう見えて、エルフの長老よりも遥かに長く生きる長命の種族なのよ」

「え!? そうなのですか」


 レンは嘘を言っているわけではない。ただ、人生の大半を眠って過ごしていただけで。実際の寿命は……そう言えば、そういう話をしたことがないな。どうなのだろうか。


「そうなのよ。とにかく頼んだわ」

「あ、いや、そう言われても。そもそも私は状況が……」


 アルネイが何か言っていたが、レンは笑顔で聞き流し、俺の手をとる。呪文の詠唱は終えていたらしく、また瞬きの間に馴染みのあるアラヤ村に戻ってきた。


「良かったのか?」

「ちょっとかわいそうですけど、セルヴァンが戻ってきたら面倒ですから。急がないと」

「それもそうだな」


 ピエールなら何とかしそうだが、一人では流石に厳しいか。


 急いで、手が空いている人間に声をかけて回る。幸い、ルイとイザベラは何かあったときのために待機してくれていたらしく、すぐに捕まった。ファンガは狩りに出て不在だったが、代わりに暇そうにしていたルーマ傭兵団を確保できた。


「お前ら、まだ村にいたのか?」

「いたわよ。別にいいでしょ」


 ローニーが膨れ面で答える。最近わかったが、こいつは意外と子供っぽい性格のようだ。仕事のときには意識してリーダーらしく振る舞っているらしい。あれ……リーダーはルーマだったような。まぁ、ともかく、今は休息モードのようだ。


 こいつらは、ハリムに雇われていた傭兵団だ。なので、戦争中は行動を制限させてもらっていた。しかし、ハリムとの戦いは終わって、すでに自由の身。この村に留まる理由はないはずなんだがな。


「悪くはないが、この村にいたって、仕事はないだろう」

「まぁ、傭兵は副業だからね。主な目的はスカウトだし。それに、仕事がないでもないみたいだしね?」


 ニヤリと笑うローニー。つまり、今回の件で雇えということだな。まぁ、たしかに傭兵団にタダ働きさせるのもマズいか。逆に金さえ払えば遠慮なく扱き使えるということでもある。


「わかったわかった」

「まいどあり!」


 さて、ルイとイザベラ、ルーマ傭兵団の四人で合計六人か。もう少し人数が欲しいが急なことだから、これ以上は難しいか?


「ケント様」

「戦力が必要ならこの子を」

「仕事って聞いたよ!」


 そう言ってルイとイザベラが連れてきたのは、鋼鉄の妖精像だった。


「あ、ああ。ゾルか。そう言えば、お前がいたな」


 契約の上書きで、俺に従うことになったアイゼンゾルドナー。長いので、今はゾルと呼んでいる。本人の申告によると、厳ついおっさんだった頃と比べると若干戦闘力が落ちたが、代わりに飛行能力と機動力を手に入れたらしい。十分すぎる戦力ではあるが……


「といっても、あっちはケント一家の支配地じゃないぞ」

「それは僕には関係ないよ!」


 あれ、そうなのか。防衛ユニットというくらいだから、支配地の防衛だけしかできないのかと思っていた。まぁ、連れていけるなら働いてもらうか。


 あとは……接木用の枝も持っていくか。適当な木をスキルツリーにすれば、俺も転移ができるようになる。そのほうがきっと便利だ。


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