Q5 魔力測定と再会?
遅れました。すいません。
唐突かもしれないが、俺は誰かに愛されたり愛したりされたことなど無かった。
俺にとっては全てのものが等しく無価値だった。
転生を果たした今でも、基本それが正しいと思っている。
ただ、一部例外が出来ただけだ。
「いやはや待ち遠しいな!」
「もう、あなたがはしゃいでどうするの」
「ハハハ、ついな」
この二人が俺の今の両親だ。
そして、多分、きっと、恐らく……この二人は、俺のことを愛してくれている。
さらに、多分ただ愛しているだけでない。もはや溺愛の域だ。
そして、あまり認めたくないが俺もこの二人を愛しているのだろう。……多分。
ここまでかなり自信なさげに言ってきたが、仕方ないだろう。前世では一度も向けられたことも持ったこともない感情だったのだから。
「ライアス、もうすぐ王城に着くぞ。準備は出来ているな」
でも―――――――――
「ふふふ、楽しみねライアス」
「なんだ、結局君も楽しみなんじゃないか」
「だってライアスの事なんだから、当然でしょう?」
「ハッハッハッ、確かに当然だな!」
そんなに、悪い気分でもないな……。
◆ ◆ ◆
俺たちが王城の大広間に着いたときにはすでに沢山の貴族、そしてその子供達が集まってきていた。
「ほぅ、私は何度か王族の方々の護衛で魔力測定の付き添いをしたことがあるが、今年は少々子供の数が多いようだな」
「私達が最後のようですね」
「ライアス、私達は貴族達に挨拶をしてくるから、お前は子供達の方に行ってきなさい」
「分かりました」
そして俺は、両親と別れて子供達が集まっているところに行った。
う~ん。とはいえ、既にいくつかのグループに別れているな。
面倒だし、このまま一人でいるか。
そのまま大広間の隅のほうにいると、近くで話している子供たちの会話が聞こえてきた。
「しってるか? ことしのまりょくそくていにはおうじょさまがくるらしいぞ」
「へぇ、ならいまのうちにおちかづきになれるかも」
「あぁ、ちちうえもそういってた」
…………さすがは貴族だな。こんな子供のころからそんなこと教えられてるのか。
だが俺はそんなことは言われなかったな。
まあアダマスク家は代々近衛騎士団長を輩出しているから、今更そんなことしなくても王家とのつながりは深いのだろう。
そうこうしているうちに、大広間の扉が開いた。
入ってきたのはこのパンゲア王国の国王 ロナウド・ノア・パンゲア だった。そしてその国王に手を引かれて、俺と同じくらいの歳と思われる女の子が入ってきた。
その後ろについてくるように、2枚の大きな石板のようなものをかかえた魔術師っぽいローブをきた着た老人が入ってきた。
広間にいた貴族たちは国王に向かって頭を垂れた。その様子を見て、おしゃべりに夢中だった子供たちも親の真似をした。
―――ふうん、あの石板がステータスを調べる魔道具か。で、あの少女がさっき聞いた王女様ってとこかな。
俺はほかの子供と同じように頭を垂れながらそう思っていると、国王が段上に立ち、口を開いた。
「これから、魔力及び身体能力測定の儀を執り行う。今年は私の娘 ルイン・ノア・パンゲア も参加する」
「皆様初めまして。ご紹介にあずかりました、パンゲア王国第二王女のルイン・ノア・パンゲアです。今回はよろしくお願いします」
―――――――――――ル、ルインだと!? 俺を倒した勇者と同じ名前じゃないか!?
まさか勇者も転生していたのか? いや、まだ確証はない。ただの偶然ということもある。むしろ、そちらのほうが確率は高いだろう。
しかし、万が一勇者の生まれ変わりだったとしたら、俺はどうなるんだろうか。また、殺されてしまうのか?
…………いや、そんなことは無いだろう。別に何か悪さしたわけでもないし、今の俺は魔王ではなく人間だ。
それに、約束のこともあるしな。
「では始めるとするか。魔導局長、説明を」
「はっ……ゴホン、えーではこれから魔力測定の説明をさせていただく アーノルド・ディア・グルグ という者じゃ。この国の魔法を司るパンゲア王国魔導局の局長をしておる」
「魔力測定にはこの石板を使う。この石板に手をかざすじゃ。するとこの石板に己の魔力量が表示される。その時にには少量の自分の魔力が使われるから、その魔力の流れを覚えれば自分で自分の魔力量を測れるようになるぞ」
「ま、無理に覚えようとせんでも魔法の訓練でもするときに教えてもらえるじゃろうから、安心するがよい。……時々、すぐに使えるようになる天才もいるがな、ちなみにわしがそうじゃった」
この爺さん今自分のこと自分で天才って言ったぞ。
「石板は二枚あるから二人ずつ並んで測るように。それではさっそく始めるとするか、ホレホレさっさと並べ、わしは気が短いぞ」
その言葉で子供たちが大広間の段の前に並び始めた。
「しつれいなくちきくジジイだな」
「いいからならぼうぜ」
…………俺は結構面白い爺さんだと思ったんだがな。
まあいい、俺もさっさと並ぶか。 ……ん?なんだか視線を感じるな。
視線を感じた先を見ると、件の王女がこちらをジッと見つめてきていた。
な、なんだ……?
そして、つい俺も王女を見つめ返してしまっていた。そのまましばらく二人で見つめあっていたが――――――。
「そこの黒いの、はよ並べ。お前さんが最後じゃぞ」
あっ、しまった。黒いのって俺のことか、確かにこの中で黒髪黒目は俺と父上だけだ。
「ルイン、お前も行ってきなさい」
「はい、お父様」
げっ、よりにもよって王女が隣か……。
「お隣、いいですか?」
「……えぇ、もちろん。光栄です王女様」
「ふふっ、お世辞は結構ですよ。ありがとございます、魔王様」
「いえいえ、決してお世辞などでは…………――っ!?」
―――――――こいつ、やっぱり!!
「……勇者か」
「うん、そうだよ。……久しぶりだね、ライアス」
「やっと、会えた」




