心情
聞いてみたい
世界ジュニアオリンピックを見終えた舞莉子。改めて世界の猛者と共に戦っている姿に感銘を受けた。現地での様子やどういう意気込みで挑んだのかと参考にしてみたいなと感じる。
ドーナツ屋にいてタブレットのアプリを閉じた。ブルブルとポシェットに入れていたスマホが鳴り響いて取り出した舞莉子。誰だろうと思いながらスマホを取りだした。
するとビデオ通話でかけたのは隣にいるコトリン。
流石にドーナツ屋の中では周囲に多くの人がいるため電話には出れないとコトリンに1回、切るように言って再び「氷上のマドンナ」に戻る。
そのタイミングで優愛さんからビデオ通話ではなく、普通の電話がかかってきた。何かビデオ通話かかってきたけど何だった?優愛さんがコトリンに電話をかけた。
舞莉子としては結果よりも現地の様子や実際に同世代で活躍する世界の猛者についてどうだったか等いくつか聞きたい事を頭で考えていた。
まずはコトリンが話し始める。
「優愛ちゃんお疲れ様。タブレットでの生配信見てたけどスゴかったし、かんどうした。それで本人的には緊張感とか世界の選手はどうだった?気になるから教えて〜」
気になるから教えてと言うには口調が軽いなと感じる舞莉子。その関係性で話せるのは優愛さんとコトリンの関係性が築かれているから成立するのかなと感じていた。
電話越しから涙を啜る声が聞こえる。
「私なんて世界に出たら井の中の蛙。決して驕る様な気持ちでフィギュアスケートをやって来た事は1度もないけど世界との差を痛感した。現地での歓声で空気に飲み込まれた感じでショートプログラムからミス連発でフリープログラムで挽回しようとすればする程ドツボにはまるかんじ。なるべくしてなった最下位って感じだよ」
成績はタブレット越しで知ってはいるが、傷に塩を塗る様な事を何故するのか。舞莉子には分からなかった。にしてもあの優愛さんが井の中の蛙と感じてしまう世界のレベルの高さ。
いつも笑顔で穏やかな優愛さんがここまで憔悴してしまっていて何で声をかければいいのか分からない。と言うよりかける言葉が見つからない。
コトリンに電話を代わってもらって話す。
「優愛さん、ジュニアオリンピックお疲れ様でした。ショートプログラム、フリープログラムと見させてもらって世界の猛者と戦っている姿に感動しました。結果はどうであれ日本に堂々と胸を張って戻ってきてください」
ありがとうと呟く優愛さん。結華ちゃん、伊吹君にも電話を代わって舞莉子と同様の言葉を述べる。
最後、優愛さんが成績が悪い中でもメディア対応しなきゃいけないのがツラかったと話してくれた。メダルや入賞した時にはやって来た事を発揮出来たと言えるが、最下位でも何かしら言わなきゃいけないのがアスリートとしての宿命と述べた。
注目選手になればオリンピックで入賞やメダル取るのが宿命づけられている。その重圧の中で戦っている全ての選手に尊敬に値するし、アスリートである以上そういう選手にならなきゃいけないと感じた舞莉子だった。




