語り合う
それぞれの夢
伊吹君が舞莉子にお花を渡してくれるのは今回が初めてではない。前に入院していた時、コトリンが隣のベッドで入院していてその時に顔を真っ赤にして帰ったあの時を思い出した。またコトリンが伊吹君に何かを言って揶揄するのではないかと見ていた。
前に入院していた時は花瓶があったが、今回の場合は花瓶がないしどうしようかと考えていた。すると優愛さんが新聞紙をもらってきてくれてお花を巻いてくれた。優しくてお顔がかわいくて機転も利く。これでしばらくの時間は大丈夫だろう。
煮え切らない答えに困惑していた舞莉子。みんなが帰ったら伊吹君から渡してくれた本を読もうと考えた。
コトリンが伊吹君に話しかける。
「伊吹君、中学生の男の子だけど気になっている女の子や好きな女の子とかいないの?優愛ちゃんは優しくてかわいいお姉さんだし、舞莉子ちゃんに関しては優しくてかわいい女の子だし」
それを聞いた舞莉子としては優愛さんの時にも優しくてかわいいと言っていた気がするだけだろうか?こういう時は普通、違う風に言うのではないかだろうか。コトリンの考えている事はやはり分からない。
すると伊吹君が息をフーッと吐く。
「コトリンが言う通り好きなのは舞莉子ちゃん。でも今の自分では人間としてもフィギュアスケーターとしてもまだまだ。だから自分に自信を持って人間としてもフィギュアスケーターとしても相応しいと思った時に気持ちを伝えたい」
真っ直ぐな気持ちを伝えられて嬉しい舞莉子に対して、その隣でクスクス笑うコトリンと優愛さん。揶揄れた中でちゃんと自分の気持ちを伝えてくれたのに笑わないであげてと言う舞莉子。
コトリンと優愛さんが笑った理由を話す。
「別におかしくて笑った訳じゃなくてその時に気持ちを伝えたいって言ってたけどもう気持ちを伝えてるなって。ボクは舞莉子ちゃんの事が好きって」
伊吹君の勇気を出して話してくれたのを見て、私達もこれからの夢や展望を語ろうよと珍しくコトリンが言い出した。
「コトリンとしてはまずは全日本ジュニア選手権を制して、世界ジュニアオリンピックに出場して優勝をしてからオリンピックで世界の頂点に立つ事」
次に優愛さんが語り始める。
「私はさっき言ったのと重複する部分もあるけどやっぱり下からの突き上げられても日本のフィギュアスケートと言えば川内優愛と言わせる選手になる。そのためにはNHK杯や4大陸選手権、全日本選手権と名だたる大会で優勝をする事。人として謙虚、演技は大胆に行う」
最後に舞莉子の番が回って来る。
「自分の代名詞と言えば舞莉子スワンステップ。だけどそれだけだったら世界おろか日本でも勝ち上がるのは難しいからジャンプやスピン等の精度を高めてフィギュアスケートを初めて見る人にもまた見たいと思わせる演技をしないと同世代でもある結華ちゃんやコトリンに勝てないと今回の合宿でまざまざと感じた」
それぞれの夢や展望を口にする事で自分達が何をするべきなのかを考えるキッカケとなった。




