長すぎる時間
知らぬが仏
今の舞莉子にとって1日が24時間以上に感じられていた。ベッドの上ではご飯の時間と見回りの時間以外夏休みの宿題に全振りするくらい時間を持て余していた。
それもあってからなのか、お盆が始まる前には全く手を付けていなかったのが3日で終わった。やっつけ仕事と言われたらそうかも知れないがひとまず終わってひと安心する。
見回りに来てくれる看護師さんや食事を持ってきてくれる管理栄養士人達にはまた戻ってきたのねとまるで自分の家族かの様に接してくれる。
夏休みの宿題も終わった。だけど、2学期に向けて予習をするにもパパとママにまた持ってきてもらわないと行けない。それならせめて本を読んで時間を過ごしたいなと考えていた舞莉子。
タブレットでママに連絡をして、中学生でも読みやすそうな本を買ってきて欲しいと何とも抽象的に対しても本屋さんでオススメを聞いて買ってくると返事が届く。
それまでの時間をどうやって時間を潰そうかなとタブレットで時事ニュースやスポーツニュースを見て過ごそうかなと考えていた。その時、見覚えのある名前を見かけた。
「世界ジュニアオリンピック代表選考に氷上のマドンナ薩摩川内支店から新鋭現れる。天才高校生に注目」
自分の通う「氷上のマドンナ」から世界に翔こうとしているって目標にしなきゃ行けないなと感じている舞莉子。薩摩川内支店って何か聞き覚えがある。コトリンが前にいたから?それもあるけど他に何かありそうと考えた。
コンコン。舞莉子の病室に鳴り響く。態々《わざわざ》鳴らすということは少なくともパパとママではないなと思っていたらコトリンがやって来た。冗談交じりにお呼びでなかったと帰ろうとしていたのでそんな事ないよ。お見舞いありがとうと伝える。
コトリンが来てくれて丁度よかったと思わず口に出てしまう。
「ねえ、コトリン。世界ジュニアオリンピックって言うのがあるみたいだけどその代表選考に氷上のマドンナ薩摩川内支店って書いてあるけど知ってる?」
私達の来たタイミング、丁度よかったみたいだよと病室の外に向かって話をしている。達っていうことはコトリン1人で来たのではないの?それとも舞莉子が見えない誰かがいるのかと背中がゾクッとする。
はいよぉ〜。その陽気な声が聞こえて入ってきた。そこには見覚えのあるという言葉では表せないあのお姉さんが入ってきた。え?なんでお姉さんがここにと思わず声が出てしまう。
マリリンがこのニュースを見たらしくてと舞莉子に代弁する様に話してくれた。
「せっかく松阪に来たからコトリンに色々案内してもらおうかなって思ってね。タブレットに書かれている記事、去年のやつだよ。結局代表選考で落選しちゃったけどね」
この前、お名前を聞くのを忘れてしまったのでお名前を聞いてもいいですかと聞く舞莉子。かたじけない、名乗る程の者ではないと返される。
歳上に向かって思わず名前を名乗ってくれないと誰と喋っているのか分からないし困るとタメ口で話してしまった。




