小心者
キャラと違う
舞莉子の発案で夏休みには各地にある「氷上のマドンナ」が集まる事が正式に決まり、舞莉子が拠点としている松阪支店や他の支店にも7月末から8月のお盆前の2週間の期間行うと正式に通達された。
嬉しいと思う舞莉子を横目に複雑な表情をしているコトリンがいた。コミュニケーションオバケで知らない子と喋れて嬉しいと誰よりも喜ぶと思っていたが、そうではなかった。
練習後、舞莉子を呼ぶコトリン。
「コトリン、今のキャラで嫌われないかな?それに4月には中学生になるでしょ?13歳以上になったらノービスからジュニアに転向する事も出来る。今のコトリンがジュニアに転向して活躍出来るのか……。人に話すのも転向するのも怖いの……」
舞莉子としては何て返そうか考えた。
相談してくれて嬉しい気持ちもあるが今のコトリンのキャラで嫌われないか?今更何を言っているのかと思っている。ノービスからジュニアに転向するか悩んでいるってその舞莉子、この前の大会で予選最下位の人に聞くのは違うと思っていた。
とはいえ、ノービスからジュニアに転向するかどうかを考えなくてはならないのはコトリンではなくて舞莉子の方だった。バッチテストで6級を合格しているから後は手続きすればいいのかも知れないが、ノービスの予選で最下位がジュニアに行くのはどうなのかなと考えていた。
コトリンに言葉を返した。
「心配しなくてもコトリンは今のコトリンのままでいいよ。最初は驚くかも知れないけど、しばらくしたらなくてはならないスパイスみたいな感じだから。それにノービスからジュニアの転向の話だけど今のコトリンならやっていける。舞莉子もノービスで優勝したらジュニアに転向する」
そうコトリンに誓った舞莉子。フィギュアスケートとしての目標とは別にそれ以外にも慌ただしい日々が続く。
小学校の卒業式があって、近くの市立の中学校に通う事になる。舞莉子を始めコトリンに伊吹君、結華ちゃんも勉強を疎かにしていないが、中学受験する程学力も高くなければ私立の中学から声をかけられた訳でもない。それならみんなでおなじ学校に行こうという自然な流れ。
舞莉子や結華ちゃんにコトリンはそれぞれのママから袴を着付けしてもらって小学校の卒業式に臨む。フィギュアスケートがメインだったが運動会や学芸会、修学旅行も楽しかったなと思い出すと涙が溢れる。
卒業式を終えて帰ろうとした伊吹君を呼び止めて舞莉子、結華ちゃんにコトリンの4人で写真を撮る。
中学校になってもフィギュアスケートを中心とする生活には変わりないが、制服を着て学校に通うのにウキウキワクワクしていた舞莉子、結華ちゃん、コトリンであった。男の子でもある伊吹君はそういうものかなと少し冷めている感じでいた。




