怖い
恐ろしい
全日本ノービス選手権を1人のお客さんとして観に行った舞莉子。改めて自分に何が足りないのかとまざまざと感じていた。
翌日、学校に行く舞莉子。教室に入るといつもの様におはようと声をかけてきたコトリンと結華ちゃん。昨日は戦う顔をしていて、真剣な表情をしていたが氷上を離れるとどこにでもいる明るくてかわいい女の子だな。
結華ちゃん、コトリン。昨日の結果ってどうだったの?そう舞莉子が切り出す。
さっきまで笑顔で穏やかだったコトリンが顔色を変えて話す。
「ねぇ、マリリン?順位どうだったって知ってて言うのは罪だよ。コトリンは知っているよ。マリリンが昨日来てたこと。ジャンプした時にも見えたし、表彰台に立った時にもマリリンの姿見えたもん」
その言葉を聞いて驚く舞莉子。どうしてバレているのか?会場にはいたのは認めるが、いた場所は1番上で出入口付近。スポーツ選手は自分のゾーンに入るとはよく聞くが、ジャンプしている時に人を見えたって言っても手前くらいじゃないか。
コトリンに全て白状する。
「コトリン行ってないってウソ付いてゴメン。でも行ってないって言ったのは1人で観に行って可哀想な子だと思われるのが嫌だった。それに予選最下位が真ん前で観るのも恥ずかしくて端っこで観てた。でも伊吹君、結華ちゃん、コトリンの演技を見て参考にさせてもらった」
フッーと深呼吸をするコトリン。
「コトリンがフィギュアスケートを頑張れているのはマリリン。いや、松阪舞莉子ちゃんや小山内結華ちゃんという仲間であり、ライバルがいるから。残念だけど今回はマリリンが予選通過出来なかったけどここで終わる様な子じゃない。コトリンの永遠のライバルだよ。だから試合に出なくても来るだろうと確信していた」
その言葉に救われた舞莉子。とはいえ、ジャンプしてる時に見つけるのはどうなのか聞く。
それについて、コトリンが語る。
「やっぱりそう思うよね?コトリン自身、過去になかった事が起きてスタンドにいる観客全員の顔が見えたくらいゾーンに入った感じがした。飛んでいる時にマリリンらしい人が見えて、演技が終わってから見たらやっぱりいた。でも表彰台に上がってる時に帰っていく姿も見えたから話したかったな」
それを聞いてコトリンに申し訳ない気がした。視力について聞いたら両目とも2・0との事。眼力を鍛えたら視力5・0とかで先住民みたいに空を見ただけで天気が分かる様になるんじゃないと冗談交じりに話をしていた。
ところで結華ちゃんは舞莉子が来ていたのかを聞いてみた。
「え?舞莉子ちゃん来てくれてたの?知らなかった。コトリン知ってるのかな?来るなら来るって言ってくれればよかったのに……」
どうやら結華ちゃんには気付かれてはいなかった様だが、もし今回の様に自分だけ大会に出れなかった場合に事前に伝えるかどうか悩みどころだなと感じていた。




