考え中
複雑
楽しい修学旅行が終わって12月になった。舞莉子としてはどうするべきか悩んでいる事があった。それは全日本ノービス選手権が予選と同様「氷上のマドンナ松阪支店」で行われる。ホントなら自分もこの舞台に立っていたかもと思うと行くかどうするかと考えてしまう。
前に「氷上のマドンナ豊明桶狭間支店」にコトリンと共に行ったみたいに誰かと行くならまだしも、コトリンだけでなくて結華ちゃんや伊吹君も予選を突破して観る側ではなく、行う側である。
ひとまず、1人でもいいが自分の気持ちを抑える意味も込めて誰かと行きたいと考えてクラスメイトに声をかけてみた。
「舞莉子ちゃんが出るなら是非とも観に行きたいけど、出ないならどうしようかな。ちょっと時間をもらってもいい?」
舞莉子が出るなら観たい。この言葉ほど嬉しい言葉はないが出ないならと言われると胸にグサリと刺さる。悪気はないのは分かっているし、舞莉子を傷つけようとしてないのも分かる。どうしたものか。
他の子にも同様に声をかけるが、舞莉子ちゃんが出るなら観に行きたいという声が聞こえた。地元だし、舞莉子が予選突破していたら何人の子が来てくれたのだろうか。
その時、教室に入って来たコトリンが話しかけてきて全日本ノービス選手権を観に行きたい子いないかって声をかけていると舞莉子が言う。
クラスメイトがコトリンに詳細を伝える。
「そのフィギュアスケートの試合に舞莉子ちゃんが出ないって言うから観に行くか悩んでるけど、コトリンはその試合に出るの?こちらもまた悪気がなくコトリンに伝えていた」
うん、出るよと軽く頷いて話し出す。
「そうだよね。マリリンの場合、舞莉子スワンステップっていう華やかで分かりやすい代名詞があるけれどコトリンの場合はシングルオイラーっていって繋ぎのジャンプが代名詞だから地味で誰からも注目されないの……」
楽しい雰囲気だった空気が淀む。そこに畳みかける様にクラスメイトがコトリンに言う。
「どうしてコトリンはそのシングルオイラーっていうやつを代名詞にしようとしたの?テレビでフィギュアスケート観たことあるけど、ジャンプやステップ、スピンとか色々ありそうだけど……」
舞莉子もずっと気になっていた、どうしてコトリンがシングルオイラーを代名詞にしたのか聞くに聞けないパンドラの箱だと感じていた。
思わず舞莉子が言いたくなかったらムリに言わなくてもいいよ、どうして予選落ちした人が予選通過した人に声をかけなくてはならないのか。というか、この状況でコトリンは喜ぶのか考える。
コトリンが前を向いて答えた。
「さっきも言ったけど、マリリンには舞莉子スワンステップがあって、結華ちゃんには華麗なジャンプ、他の子はスピンが美しい。同じ土俵で戦っても叶わないからと辿り着いたのがシングルオイラーってやつなの」
そういう経緯だったのか。だが、予選通過して出られるならいいじゃん。そうコトリンに言いたかった舞莉子であった。




