羨ましい
いつもと違う
前日、カオリンから色々と言葉をかけられた舞莉子。改めて自分がプレッシャーに弱いと実感した。ネットでは天才少女、松阪舞莉子まさかの予選最下位だの、「舞莉子スワンステップ」も最下位でスランプという記事が飛び交っていた。
いい時は群がって少しでも成績が悪いと突き放すっていい所だけ掻 《か》い摘んで食べるみたいな事をしないで欲しい。ホントに舞莉子を応援してくれているのならいい時も悪い時も見守っていてくれればいいのにと感じていた。
前は舞莉子を見るために教室に来ていたが今となっては誰も来なければクラスメイトがフィギュアスケートの話をしている感じもなかった。
批判されるくらいなら触れられない方がまだマシさな、そういう風にすら思っていた。
夏から秋に変わり、クラスメイトの話題が修学旅行で持ち切りだった。バスは隣で誰と座るか、旅館の部屋決めでどの子と過ごすのかといった感じに。
コミュニケーションオバケのコトリンは誰とでもお喋り出来るし、あのキャラならどうにでもなると思っていた。問題なのは舞莉子でキャラが立っている訳でもなければ永遠に喋れる様なコミュニケーション能力を持ち合わせている訳ではない。
帰りの会でバスと部屋決めが行われて、バスでの隣は結華ちゃんで同じ部屋にはコトリンがいるグループに決まった舞莉子。他のクラスメイトと仲良くない訳ではないものの、いつもフィギュアスケートを共にしている戦友がいるのは嬉しい。
そして、修学旅行当日を迎えた。
バスで隣になった結華ちゃんとは終始、フィギュアスケートの話で盛り上がっていた。その時ある言葉に引っかかった。
「舞莉子ちゃん、最近元気ないみたいだけどあの時の傷はもう癒えた?何かあればいつでも話聞くし、相談にも乗るよ。今ので忘れていたのに思い出しちゃったらゴメンね」
結華ちゃんの言うとおり、完全に忘れていた。あの時というのはそう、全日本ノービス選手権予選で最下位になって目も当てられなかったあの時を指す。悪気は無くて心配してくれて声をかけてくれたがバスの中で泣いてしまった。
結華ちゃんは舞莉子の手を握ってゴメンねと只管謝ってくれた。
社会の教科書に出てくる建造物を巡って旅館に着いた。見たことも食べた事もない物が目の前に並べられてテンションが上がる舞莉子たち。
ご飯を食べ終わって自由時間の間、コトリンを含めた部屋の子達とワイワイ燥いでいた。
コトリンの様にコミュニケーションオバケでお喋りモンスターだったら悩みがあってもスグに切り替えられるのにと部屋の子が話していた。
気丈の振る舞いは外だけ。家に帰ったら内向的でそんなに口数も多くない方だよ。だから落ち込むし、立ち直れない事もあるけどコトリンのイメージもあるからと答えた。
意外すぎるコトリン。たまには弱音を吐いてもいいし、愚痴も聞くよと舞莉子が話した。
マリリン優しいねと抱きつくなり、表と裏でキャラが違うのは血液型がAB型だからかな?そう答えた。
絶対関係ないでしょとツッコむ舞莉子。やっぱりコトリンはこうでなきゃねと部屋では終始盛り上がっていて消灯時間まで話が弾む。




