由来
変わらない
無言の病室に響き渡る掛時計の秒針。夕食が運ばれて食べ終わってからもう1時間くらい経ったのかなと時計を見つめる舞莉子。何時なのかと確認と夕食を食べてから5分しか経っていない。
もうため息しか出てこない。手足の不自由な舞莉子に取って何も出来ずもはや苦行と言っても過言ではない。コトリンは何をしているのかなと見ると、本を読んでいて邪魔をしたら悪いかなとすら思っていた。
きっと視線が合ったら気を遣わせてしまうだろうとコトリンの目を逸らす。骨折さえしなければ舞莉子もパパやママに本を持ってきてもらって時間を忘れられたのかなと呟いていた。
すると本に栞を挟んで閉じたコトリン。舞莉子の方を向いてよかったら読み聞かせしてあげようかと笑顔で言われるものの、次の4月で小学校5年生になる舞莉子。気持ちだけ受け取っておくと言って眠りについた。
翌朝、舞莉子が起きると既にコトリンが起きていた。昨日の続きだろうか本から栞をとって読んでいる。外を眺めて暇だなと呟いてしまう。
昨夜のみたいにまたコトリンが本を閉じた。舞莉子に話しかけて来てくれた。
「ねぇ、マリリン朝ごはんが来るまで喋らない?こんな時くらいしか他愛のない話出来ないしとの事。
舞莉子がコトリンに聞いた。
「どうして琴凛ちゃんは自分の事をコトリンって呼ぶの?後、舞莉子の事をマリリンって呼ぶ理由も気になる。教えて」
「どうして琴凛がコトリンって呼ぶかって?漢字で書くと楽器の琴に凛とするっていう字を書くからそのまま呼ぶとコトリンになるし、それにコトリンって響きがかわいいから。舞莉子ちゃんをマリリンって呼んでいるのは滑っている姿が優雅でカッコよくて、お顔がかわいいから。マリリン・モンローっていう人がいるってパパから聞いたから。じゃあ、氷上のマリリン・モンローになるかなと」
その理屈で言うとそのマリリン・モンローっていう人がコトリン・モンローって名前だったら、氷上のコトリン・モンローって名乗るのかと言うとそれ、いいねとノッてきた。そういう話なのか……。
しばらくして朝食が舞莉子とコトリンの両方に配膳された。するとコトリンが話している。
「問題です、私の名前は小鳥遊琴凛シャーロット。この中にことりは何匹いるでしょうか?」
コトリンは何をしているのだろうか?初めて合う人にはその質問はマストなのかと気になる。病院食って味が薄くてあまり美味しくないイメージだったが栄養満点で美味しいと食べていた舞莉子。
食べ終わって食器を下げてくれる人にも巡回で見に来てくれる看護師さんにも隙あらばと同様の質問をするコトリン。好きな人は沼にハマるが、みんながこのキャラを受け入れられる訳ではない事を舞莉子は伝えた。




