同じ土俵
スタートライン
捻挫が治った舞莉子。何だかんだで4月が過ぎて5月のゴールデンウィークが終わる頃になってやっと完治して松葉杖生活とも別れを告げることが出来てホッとした。
もう体育では落ち着いて言われた事だけを心がけて、尚且つ登下校中も車や自転車といった気をつけられる所は気をつけようと意識する様にしようと決めた。それはフィギュアスケートの練習でも自分だけではなくて、周りを気にかけないと怪我をすると身をもって実感した。
伊吹君や結華ちゃんはひと足先に初級のバッチテストを合格に焦りがないと言えば嘘になるがそこまで焦っていない。舞莉子としては確実に合格出来るよう感覚を戻してバッチテストを受けようと考えていた。
6月初旬にバッチテストを受ける事を上旬に合わせて体調と怪我には気をつけようと自分に言い聞かせてこの日担当してくれたコーチやインストラクターに伝えた舞莉子。
練習の前後、そしてお風呂に入る前後にはストレッチを行ってバッチテストの前日を迎えることになる。当日は緊張と興奮でテンションが上がっていつもと違う事をしそう。すると怪我のリスクにも繋がるからとあくまでも冷静にと自分に言い聞かせて眠りにつく。
舞莉子にとって初めてのバッチテストはあいにくの雨。滑って転ばないようにいつもよりも気持ちゆっくりと歩いて「氷上のマドンナ松阪支店」に向かう。
先に合格をした伊吹君や結華ちゃんが行っていた映像を何度も見返しをして家でもイメージトレーニングをしてきた。自分なら大丈夫だと言い聞かせて頬をポンポンと叩いて氷の上に乗る舞莉子。
集中していたからなのかバッチテストはあっという間に終わった様な気がして合格発表を待っていた。すると合格おめでとうと伝えられ、この後練習を控えていた伊吹君と結華ちゃんがおめでとうと握手してギュッとハグをした。
この日はバッチテストだけで帰っても何ら問題はないものの、せっかくならばと伊吹君と結華ちゃんの様子を見て行こうかなと決めた。
やはり自分よりも先を進んでいるなと俯瞰していた。しばらくすると練習が終わったのを確認して伊吹君と結華ちゃんと3人で帰ろうかなと考えていたから。
舞莉子の背中をツンツンと誰かにされた。誰だろうと振り向いた。
「氷上のマドンナ本店の代表取締役副社長、小山内香凛さんこんにちは。舞莉子に何か御用でしょうか?」
カオリンは笑っていた。
「堅苦しい挨拶しなくていいよ。それに代表取締役副社長って言いにくいでしょ。私自身肩書きで言うのは外で違う会社の人と会う時くらいで中では普通にカオリンって呼んでくれればいいのに。それに態々《わざわざ》代表取締役副社長って呼ぶってイジってるでしょ。迎えに来たからみんなでドーナツでも食べに行こう。舞莉子ちゃんも一緒にね」
前はクレープ、今度はドーナツとカオリンに色々と買ってもらって何だか申し訳ない気持ちでいた舞莉子であった。




