前乗り
どっちでもいいよ
4月の半ばにジュニアの大会が開催されるために「氷上のマドンナ」のグループLINEにて、全員に任意参加を求めた。場所は神奈川県厚木市で行われる。
ある子がグループLINEで問い合わせをした。
「薩摩川内支店に来てくれている子が勉強のために行きたいと言ってるのですが、参加してもいいですか?もちろん私が旅費や引率をするのでとお願いをされた」
当然断る理由等ない。他の支店に来てくれている子も行きたいと思う子がいるかもしれないと考えた華織さんは再度グループLINEにて行きたい子が何人いるのかを聞くように伝えた。とはいえ、日にちも日にちなので今週末迄と併せて送る。
華織さんの方針として、ダラダラ練習をしていても疲れるし何よりも集中力切れたら怪我のリスクが高まるために1回の練習は基本的に1時間と決めている。
短い練習時間とはいえど、かなり体力の使う競技になるフィギュアスケート。休みの日くらいゆっくりすればいいのにと思いつつも当時の自分だったとしたら生で見て学べるなら学びたいと思うかもと考えていた。
締切の前日に華織さんには各支店から参加希望の子供達のリストが送られてきた。松阪支店からは舞莉子、伊吹君、結華ちゃんも参加希望を表明していた。
自分が想定していた以上に多くいて驚いた。
この試合は朝早く行われるために会場近くの全員が泊まれる旅館を会社の経費から落とした。会社の経費とはいえどそこそこいい値段になってしまった。
翌日の夕方には遠方組も含めて全員集合した。
華織さんやカオリンからしたら久しぶりに見る顔もあって元気そうで何よりで、各支店に通っている子達にあった。初対面でも元気よくを挨拶してくれる子もいれば、人見知りなのか中々挨拶出来ない子もいた。
初対面でも挨拶するのはは基本中の基本。大人でも初対面の人に挨拶出来ない人もいる。出来ていて当然な事は小さい時から教えておかなきゃいけないと感じた。自分達が現役だった時みたいにガッツリ上下関係が厳しくてとまではしなくてとも人としての何かを教える必要があると感じていた。
華織さんはカオリンにその事を伝えた。
「確かにそうだね。いくらフィギュアスケートが出来ても挨拶も出来ないじゃあ困るもんね。技術は後でどうにでもなる。霊を踏まえつつ教えていかなきゃね。そう言ってるけど、自分が大丈夫なのか心配になってきた」
それだけしっかりしていれば大丈夫だよとカオリンの肩に手を置いた華織さん。晩御飯の時間になり、大広間に全員が集まった。
ご飯を食べ終わってからちょっと時間をもらえますかとカオリンが手を挙げた。そして華織さんのカオリンが前に出て挨拶の大切さや礼儀についてコント風にやってみせた。
どっちが良くてどっちが良くないかと手を挙げさせて理由を聞いてみた。それぞれの支店に戻っても今言った事を忘れずに頼られる人間になるように。そして、朝食前10分前にはここに集合、時間厳守だと伝えて各部屋に戻って行った。




