徐々に
続々と
山形県酒田市には「氷上のマドンナ酒田支店」をグランドオープンをさせて、華織さんやカオリンが教えていたコーチやインストラクターの卵の子達は地元に戻って指導出来るのがありがたい。遥々山形県から来ていた子も地元で練習が出来るのが理想だったと話していた。
それぞれにムリしない程度に頑張ってと後押しをしていく背中を見送った。華織さんとカオリンはお互いの顔を見つめていた。
少し寂しいような気もするが、巣立っていく姿に嬉しい。ポソッとカオリンが呟いた。
「私たちの役割はあくまでもコーチやインストラクターを育ててその教え子達が氷上で輝いてくれる事だよね。今は私たちが1人前のコーチやインストラクターにするのが大事。先の将来、教え子同士で全日本選手権やオリンピックとかで戦ったりしたらもうウルってしてテレビ見れないかもね」
冗談半分、本気半分で華織さんは聞いていた。だが大切なことがあると述べた。
「それよりもまずは支店が出来るまでに1人でも私たちから教えてもらったコーチやインストラクターだからぜひ指導してもらいたいと言ってもらえる様にする事が先決。その先としては氷室華織、小山内香凛の名前が無くてもお願いさせるくらいにしないと」
カオリンは我に返って確かにそうだねと話をしていた。するのは自分でもなくて、コーチやインストラクターになる子が教えるのであって氷上の上で演技をするのはあくまでもその教え子になる。あくまでもそうなればいいなと思うように心がけた。
華織さんの夫でもある琢郎さんがスカウト兼広報担当ということで、続々と支店の候補地の工事とオープン日が伝えられた。
4月には島根県江津市に鹿児島県川内市と長野県駒ヶ根市にオープン出来る予定。延期になったらその都度また伝えるようにする。
個人情報を扱っている華織さんとカオリンだが、それぞれの出身地や近いところならば声をかけてあげればいいが本人の意向もあるだろうし、地元じゃなくても違うゆかりがあって行きたいという人もいるだろうからと公募制にしようと考えていた華織さん。これにはカオリンも賛同していた。
翌日、「氷上のマドンナ松阪支店にいる子達に新たに出来る予定のある自治体を伝える。極力、指導のある子とない子がペアになって共にやっていけたらいいなと考えていた。すると鹿児島県の川内市では6人も立候補してくれた。
カオリンから華織さんに提案した。
「何もワンペアじゃないといけないルールとかないよね?人数が多ければその分1人に対しての負担が減るし、シフトも組んで行える。今は働き方改革、タイムパフォーマンスの時代だよ」
実は華織さんとカオリンは同い年だが、まさか同級生から働き方改革やタイムパフォーマンスなんていう言葉を聞かされるとは思ってもいなかった。




