知らない人
どなたですか
願いが通じて雪が積もっていて嬉しい舞莉子。小学校も休みで雪だるまを作ろうとスカートを穿いて行こうとしたら、せめてズボン履いて行きなと渡されて履き替えた。兎にも角にもテンションが上がって公園に行くと既に舞莉子と同い年くらいの子や大きい子たちが既に先客がいて、雪合戦や雪だるまをしていて入る場所がない。
ここじゃなくても雪だるまは作れる。そう考えて家の近くにある別の公園に足を運ぶがここでもまた多くの人がいて、雪だるまによって入口が塞がれている状況にいた。元気よく家を出たのに何もせずに家に戻るのは納得のいかない舞莉子だった。しばらく歩くと小さな川が凍っていた。
ひとまずどれくらい凍っているのか確認をしてみる舞莉子。川幅が広くて対岸がどこなのか分からないくらい大きな川ではないとはいえど、指でツンツンして割れないか確かめる。よし、とりあえず大丈夫そうだなと確認が出来た。
前にテレビでフィギュアスケートを見ていて感動したことを思い出した。周りには誰もいないことを見つつ、靴を氷の上に滑らしていると面白い。見よう見まねでくるりと回ってみるが転んでしまう。氷は割れてはいないもののお尻が濡れてママに怒られる。その事が頭を過ぎった。
ここにいるのは舞莉子しかいない。我に返って濡れてないなら気をつけようとは思うが、もう時すでに遅し。少し濡れようがガッツリ濡れようがもうどうでもよくなってきた。あとちょっと、あとちょっとと呟きながら氷の上を滑る。
その時だった。君、ちょっといいかな?知らないサングラスをかけた男の人が舞莉子に声をかけてきた。
その言葉を聞いて転んだ。
「おじさん、お姉ちゃんとお話がしたいからちょっといいかな……」
何と答えたらいいか迷った舞莉子だが、パパのあの言葉を思い出した。知らない人について行ったらダメだよ。
「パパから知らない人について行ったらダメだよと言われてるの。舞莉子とお話するならお家に来て」
サングラスをかけた男もまさかの返答に驚きつつもじゃあついて行くから案内してと舞莉子は知らない人を家に案内することになった。
家に帰るとパパ、ママ帰ったよ。知らない人が舞莉子とお話がしたいみたくて連れてきたよ。これにはパパもママにも驚いた。
知らない人について行ったらダメとは言ったもののまさか誰かも分からない人を家に連れてくるとは考えもしなかった。ひとまず着替えておいでとパパに伝えられつつもサングラスの男の人と何の用事なのかと対峙することになる。
サングラスを外してこういうものです氷室琢郎ですと名刺を差し出してスケーターのスカウトをしているしがない者ですがと挨拶をする。
パパは空返事をしてまだ状況が飲み込めずにはいなかった。




