見に覚えがある
その話
舞莉子は練習がない日でもいつものルーティンを欠かさず行っていた。
ある日、学校から帰ってきた舞莉子。いつものルーティンで宿題を終わって縄跳びを晩御飯が出来るまで行っていた。部屋からコンコンと音が鳴り、ママから用意できたよと声をかける。
何気なくテレビを見ていると思わず舞莉子がこのお姉ちゃんだとテレビに指を差す。そこにいたのは紛れもなく華織さんだった。テレビに出るなら前もって言ってくれてもよかったのになと心の中で呟くママ。フィギュアスケートの試合でもないのになんだろうと気になっていた。
メインキャスターが今回のゲストは元フィギュアスケートの氷室華織さんですと紹介されて頭を下げてテーマとなるフィギュアスケートの展望と役割について話すということで舞莉子だけでなく、ママ、そしてちょうどいいタイミングで帰ってきたバパも釘付けになっていた。
まずは華織さんがメインキャスターにこう問いかけた。
「フィギュアスケートってどういうイメージを持たれていますか?やっていた人とやったことなくてファンの人や気になって見てくれる人とどう違うのかまずはそこから話そうと思っています」
メインキャスターはすかさずこう答えた。
「フィギュアスケート……。失礼だと思いますがお金持ちの習い事で初期費用が高くて、練習環境も中々なくて国際大会やオリンピックを目指そうものならいくらかかるのかと考えるだけでもちょっと……。氷上のプリンセスの前で言うのも失礼だと思いますが」
「やっぱりそういうお金持ちの子がやる習い事だとか、初期費用が高くて大会に出れば移動費やコーチを付ければレッスン代が膨大でっていうイメージ。現実的に言えば間違っていない。だからそのイメージを払拭したいと考えている。まずは競技人口を増やすべく全国各地で体験会があると聞きつければ足を運んで興味を持ってもらう。そこで声をかけて微力ながら格安でコーチとして教えたりしてます。競技人口を増やすことも大事だし、未来のスケーターの為に尽力をしている」
その話を聞いて、華織さんはだから舞莉子にも親身になって丁寧に教えてくれていたのかと勝手に納得していた。これで番組が終わりなのかと思ったら最後に言いたいことがあると伝えた。
「前に愛知県名古屋市での体験会で始めてフィギュアスケートを始めたと言うのに壁にもつかまず氷上を軽やかに滑っている女の子がいて、その子を見て思わずスグにコーチとしてこの子を育てなくてはと思ったのを昨日のように覚えている。もっとその子も電車で通っていると聞いて全国各地にスケートリンク場を作って身近で誰もが気軽に取り組めてもらえる様に敷居を低くしたいのが私の願いだし、自分のするべきこと」
名前は伏せてはいるものの、完全に舞莉子の事を話している事が分かった。華織さんの盛大な野望に驚いたし、練習環境が整ってなくてフィギュアスケートを始められない子もいるのかなと勝手に想像していた。




