ペルセウス座流星群
花火大会が終わり、人の流れに合わせて三人はゆっくりと歩き始めた。
夜風が心地よく、祭りの熱気が少しずつ遠ざかっていく。
その時、不意に彗が口を開いた。
「……流星群、見ないか。」
突然の提案だった。
「え?」
凪が驚いたように振り向く。
波も目を丸くする。
「流星群?」
「うん。」
彗は夜空を見上げたまま続けた。
「この前、夕日を見た場所。」
「あの海。」
「恋路ヶ浜で見よう。」
その言葉に、凪は少しだけ驚く。
まさか彗の方から「どこかへ行こう」と誘うなんて思ってもいなかった。
「水平君が……誘ってくれるなんて。」
思わず笑みがこぼれる。
彗は少し照れたように視線を逸らした。
「……あそこ。」
「静かだったから。」
「流星群を見るには、ちょうどいいと思って。」
波は両手を上げて飛び跳ねる。
「行きたい!」
「絶対行きたい!」
「流れ星、お願い事できるんだよね!」
その無邪気な言葉に、彗は小さく笑う。
「見られるといいな。」
凪はそんな彗の横顔を見つめる。
以前なら、自分から未来の予定を口にすることなんてなかった。
「来年も行こう。」
そう答えた時も驚いた。
そして今は、自分から次の約束をしている。
その変化が、凪には何よりもうれしかった。
「うん。」
「恋路ヶ浜で、一緒に見よう。」
三人は夜空を見上げる。
花火はもう終わっていた。
けれど、その先には、まだ見ぬ星空が待っているような気がした。




