第4話 モブメイド確定、ハーレム構築が崩壊していく件
あれから一ヶ月ほどが経っただろうか。
俺は自分の新しい人生について、だいぶ情報を集めることができた。
まず間違いないのは、俺が女の子だということだ。
父親がよく「この子は母親にそっくりになるだろうな」と嬉しそうに言うのを聞く限り、金髪に桃色の瞳の美人に育つ可能性が非常に高いらしい。
……それはまあ、悪くない。
TS転生というやつだ。元々は男として生まれ変わりたかったが、美少女(予定)として生まれるのも、考えてみれば全然アリだと思っている。
女の子であることは受け入れた。
しかし、深刻な問題が二つある。
一つ目は、俺が主人公どころか、どうやらただのモブ娘に転生してしまったらしいということだ。
両親の会話を盗み聞きした限り、彼らはこう言っていた。
「この子が女の子で本当に良かった。ヴァレンシュタイン家のメイドは女の子にしか継承できないからな……」
(その瞬間、俺は全力で叫びたかったが、まだ言葉を発することができなかった)
どうやら俺は華やかな主人公ルートではなく、使用人として他人を支える側——いわゆる裏方人生に回されてしまったようだ。
ここまで来ると、あの黒い影の神様を本気で呪いたくなる。
(このクソ野郎! 一度死んだんだから、せめて希望通りに転生させてくれても罰は当たらんだろうが!)
もちろん声に出せないので、両親はただ「また泣いているわね」と優しくあやしてくれるだけだった。
そして、もう一つ——これが一番深刻な問題だ。
異世界といえば魔法だろ?
もちろんこの世界にも魔法は存在する。剣と魔法のファンタジー世界として、その点は期待通りだった。
しかし、両親は二人とも魔法を使えない一般人らしい。
となると、俺も魔法を使える可能性はかなり低いんじゃないか……?
まだ生まれて一ヶ月しか経っていないので確かなことはわからないが、嫌な予感しかしない。
ビリビリ食らうような絶望が、俺の小さな胸を締め付けた。
魔法があっても使えなきゃ意味がない。
チートスキルも、主人公補正も、派手な無双展開も——全部、最初から遠い存在なのかよ。
最悪だ。
トラックに飛び込んだ結果が、これか。
メイド見習いとして、誰かの後ろで皿を洗い、掃除をし、将来はご主人様の世話をする人生……。
俺のハーレム計画は、開始一ヶ月目で完全に暗礁に乗り上げたも同然だった。
……いや、まだ完全に諦めたわけじゃない。
せっかく異世界に来たというのに、簡単に諦めるつもりはない。
この二度目の人生が、もしかしたら俺の最後の人生かもしれないんだからな。
それに、美少女(予定)の顔をここで諦めるのも惜しいじゃないか!
……よし。
できる限り、やってみよう。




