第5話 チートがないなら、母の巨乳に埋もれることにした!
そうして、時間は流れた。
この異世界で「フィーネ・アーレット」という名前で生まれ変わってから——それが俺の新しい名前だった——俺は散々、あの黒い影の神を呪い続けた。あいつは才能も富もチートもろくなものをくれなかったが、唯一まともにくれたものが一つだけあった。(美少女予定の容姿を除けば、だが)
……それは、この世界の文字と言葉を理解できるということだ。もちろんまだ二歳だから流暢に話せはしないが、もう少し大きくなれば普通に会話もできるようになるはず。
言葉が理解できなかったら、間違いなく何百倍も地獄だったろうな。
俺の両親は残念ながら二人とも一般人だった。魔法など使えない普通の人間だ。
だから過度な期待はしていなかったが……それでもここは異世界。わずかな希望を胸に、俺は魔法に関する知識を仕入れることにした。
母はヴァレンシュタイン家の令嬢、セルレスティア・ヴァレンシュタインという少女(俺と同い年だと聞いた覚えがある)の乳母の一人らしく、父も同家の使用人だった。
我が家は裕福とは言えないが、極端に貧しいわけでもなく、小さいながら本棚があって本が何冊か並んでいた。
自分で歩けるようになると、俺は早速本棚の前に陣取り、物色を始めた。
すると最初に目に入ったのは——
『冷酷な公爵様は私にだけ甘すぎる』というタイトルの小説だった。まさにライトノベルサイズ。
……は? 母さんが読む本かこれ? 異世界にも女性向け小説があるとは知らなかった。
(ていうか、これ完全にナロウ系じゃねえか!!!)
清楚そうな母さんがこんな本を読んでいたなんて意外だったが、彼女もまだ二十代前半の若い女性だ。……まあ、そっとしておこう。
次々と本を漁っていると、ようやく目当ての一冊を見つけた。
『魔法入門 ~初心者向け~』。
最近誰にも触られていなかったのか、埃がうっすらと積もっていた。
埃を払い、ページをめくってみると、そこから多くの情報を得ることができた。
簡単にまとめると、魔法の強さは
クラス4(一般的)
クラス3(騎士団レベル)
クラス2(王国で数百人程度)
クラス1(国家戦力)
という区分らしく、属性は水・火・風・土・雷の五種類だとか。
(……典型的な異世界魔法設定だな)
さらにページを進めると、「魔法適性検査は五歳から可能」と書いてあった。
まだ三年もある……。
俺はガックリと肩を落とした。
この三年間、何をすればいいんだ?
俺が出した結論はシンプルだった。
せっかく赤ちゃんに戻ったんだし、母さんの大きな胸に埋もれて甘えるのも悪くないんじゃないか——二歳ならまだセーフだろ。
ちなみに母さんの胸はEカップ、いやFカップくらいありそうだった。
……俺も将来、ああいう胸になるのか。
そう考えると、この人生も意外と捨てたもんじゃないかもな。巨乳最高!
……いや、違うだろ俺。




