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第5話 ハジマリ
ミナは一歩、前に出る。
「ちょ、ちょっとミナ!?」
私は慌ててその背中を掴む。
「危ないって!!」
けれどミナは、静かに首を振った。
「大丈夫」
その言葉には、不思議な確信があった。
少女は、ゆっくりとこちらを見ている。ぎこちない動き。少し遅れて反応する視線。...でも、どこか怖がっているようにも見える。
「...あなた」
ミナが、穏やかに声をかける。
「ここに住んでるの?」
返事はない。ただ、少しだけ首が傾いた。まるで、言葉の意味を処理しているみたいに。
「...え、なにあれ...」
サナは小声で呟く。怖いはずなのに、さっきとは違う感情が混ざってくる。
まるで重りでも付けられているかのように、動きが鈍い。
「...あなた、名前は?」
ミナが聞く。今度は少しだけ、間があった。
そして——
「...ナ...ナ...」
かすれて、震えた声で答えた。
「ナナ...?あなた、ナナっていうの...?」
その少女は、ゆっくりと頷いた。
夕焼けが屋敷の中を、赤く照らし始めた。暗くてよく見えなかった少女の体が、はっきりと見てるようになった。そして私は、その少女のあまりのショッキングな姿に声を失った。
..このナナと名乗る少女、服も髪も、体もボロボロなのだ。そして。
...頭の中身が、少しだけ露出していた...。




