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たとえ君がAndroidでも  作者: せいご
第一章 退屈な日々との別れ
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第21話 仕事用

料理を運んでいる、人型の個体に目をやる。これが仕事用か...。

「ご注文のチーズインハンバーグをお持ちしました。」

抑揚の少ない声。

でも動きは滑らかで、皿を置く所作も、人間とほとんど変わらない。

「すごいねぇ...。ぱっと見、人間と区別つかないや。」

私は感心しながら呟く。

「最近の仕事用HAは特に精密だからね〜。」

その時。

「ねぇみな。」

ナナが、料理を運んでいくHAをじーっと見つめながら、小さく聞いた。

「なに?」

「...あのひと、つかれてないの...?」

私は少し驚く。

「え?」

ナナは続ける。

「ずっとあるいてる...。おさらいっぱいもってる...。なのに、ぜんぜんつかれたっていわない...。」

ミナが、一瞬だけ黙った。

「仕事用HAはね、“疲れる”って感覚がかなり抑えられてるの。」

「おさえられてる...?」

「うん。仕事をずっと続けられるように。」

ナナは、少しだけ俯く。

「...へんなの...。」

「へん?」

「つかれたら、おやすみしたいのに...。」

その言葉に、私は思わずナナを見る。

ナナは、スプーンをぎゅっと握っていた。

「ナナは、疲れるの?」

私が聞く。

「うん...。おべんきょうすると、あたまあつくなる...。いっぱいあるくと、からだおもい...。」

「そっか。」

私は、ナナの頭を撫でた。

ナナは、キョトンとしている。

疲れたり、眠かったり、お腹が空いたり。

誰かと笑って、嬉しくなったり。

本当に、Androidなのか疑うくらい。人間みたいで、愛おしい。


その時。ガシャン。

遠くで、大きな音がした。店内の空気が、一瞬止まる。

見ると、仕事用HAの一体が、皿を床に落としていた。

「エラーを確認。申し訳ございません。」

機械的な声。

周囲の客は少しざわついたが、HAは感情一つ見せず、床に散らばった破片を拾い始める。

...なんだろう。妙に、怖かった。

「...。」

隣を見る。

ナナが、震えていた。

「ナナ?」

「...。」

顔色が悪い。さっきまで楽しそうだったのに。

ナナは、そのHAを見つめたまま、小さく呟いた。

「……こわれたのに……はたらいてる……。」

ミナの表情が、凍った。

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