第14話 さなのいないいえ
数時間前。ミナとナナ。
「サナ行っちゃったね〜。じゃあ、お勉強しようか。」
「うん!」
ナナは、席についた。そして、ユウが口を開く。
「今から講義を始めます。昨日の小テストの結果より、今行うべき講義の内容を整理いたしました。それでは、始めて行きましょう。」
ミナは、ちょっと離れた所からナナを見守る。
「まずは平仮名の読み書きから入っていきましょう。」
ナナは真剣に、ユウの講義を受ける。そして。
「では早速、平仮名の「あ」をその紙に書いてみましょう。」
「えーと...できた!」
「判定中...解読不能。」
「あれだめだった?もういっかい!」
「判定中...解読不能。」
「もういっかい!」
「解読不能。」
「ねぇユウ...ちょっと厳しすぎない...?」
私は苦笑いしながら、ナナの隣に座った。
「「あ」の書き方はね、まずは横の線を引いて...。」
ナナの手を上から優しく掴み、動かす。
「...すごい...!」
ナナが、驚いている。
「ほら、できた!この動きを次は1人でやってみようか。」
「うん!」
元気な返事だ。
「...できた!」
「判定中...上出来です!まだ少し拙い部分もありますが、慣れてくるでしょう。それでは、次は「い」を...」
ー3時間後。丁度お昼頃だ。
「それでは、本日の小テストです。本日習った、あ〜そまでを、その紙に書いてみましょう。」
「えーと...たしか、こう!...それで、「い」はこうで...。「う」は...。」
数分後。
「できた!」
「採点中...42点です。素晴らしいです、昨日より5点も伸びました!」
「ごてん...?」
ナナは、首をかしげる。
「成長したってことだよ。すごいじゃん!」
ミナは、咄嗟にフォローした。
「なな、せいちょうしたの?やったー!」
...純粋で、可愛い笑顔だ...。守りたくなるような、そんな...。
「今日の講義は以上です。お疲れ様でした。」
「それじゃあナナ、お昼ご飯にしようか。もう出来てるから、おいで。」
「いただきます」
ナナは、慣れない様子で箸を掴む。そして途中で落としながらも、料理を口へ運ぶ。
「...おいしい...!」
ナナの顔が、明るくなった。
ミナは本当に、自分の妹のように、この子を可愛がっていた。
...だが...。この食卓、何かが寂しい気がする...。なんだろう...?
「そういえば、さなは?まだ、でかけてるの?」
ナナが聞く。はっとした。
...サナがいない食卓って、こんなに静かなんだ...。
そういえば私がこの家に来てから、サナが家を留守にすることなんて滅多になかったもんな...。
私は優しい口調で、ナナに教えた。
「サナはね、今ナナのために頑張ってるところだよ。」
「ななの...ために...?」
「そう、ナナのため。だから帰ってきたら、優しく迎えてあげるんだよ。」
「...わかった!さなにはやさしくする!」
ナナ...サナ「には」って...そうじゃない...。
そして、昼食を終える。
「ねぇ、みな...。」
ナナが、少し俯いて声をかける。私はナナに温かい目を向ける。
「どうしたの?」
「えっと...いっしょに...」
...言葉が詰まっている。
「いっしょに...あそびたい...!」
...え...何この子...可愛すぎない...!?
本当に妹ができた気分だ。
「...もちろん!!何して遊ぼうか?」
私も、ついテンションが上がってしまう。
だが、その直後。バイト中のサナが、再び頭をよぎった。
今頃昼食の時間帯だから忙しくて、疲れちゃってたりするのかな...。




