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第43話「危うい神域」
小夜は神域をさらに拡張した。手のひらに微かな冷たさが走るのを感じる。指先から、まるで命が少しずつ溶けていくような感覚。
「……また、体が、」
水月が小夜の前に静かに立つ。光が揺らめき、温かさと重みを同時に放つ。
「無理をしすぎているな」
その声に、小夜はうなずくだけ。言葉にする余裕もない。地脈は豊かに流れ、街は収穫の喜びに満ちている。しかし小夜自身は、力を使うたび存在が薄れていくことを自覚していた。
背後から静かに響く足音。迅だった。
「……小夜」
その一声に、心臓が跳ねる。見ると、彼の瞳はいつもより真剣で、守るという決意に満ちていた。
小夜は自然と手を伸ばす。触れた瞬間、冷たさと温もりが同時に流れ込む。
「……迅、怖い」
「……俺もだ」
言葉少なだが、その目はすべてを語った。二人の間で、時間が止まるようだった。
その夜、小夜は代償の重さを痛感した。だが、同時にそれを守ろうとする迅の気持ちが胸に刻まれた。




