第8話 夢と母親
橋姫の首に鎖が吸収され、晴れて橋姫は俺の式神として契約が完了した。それから少しして、兄さんと有島明は二人で式神の登録をしに行った。
その一方で俺と蒼は橋姫を連れて俺の家に帰宅し、妹の白葉を合わせてリビングに集まっていた。
「それで兄さん? その美人な女性は誰なんですか? まさか、蒼ちゃんがいながら浮気でもしてるの?」
ものすごい圧と威圧感で白葉は第一声にそう言い放つ。
絶対何か勘違いしている。
だから俺は白葉にも分かるようにしっかりと説明した。
「この女性は橋姫。さっきあった魔人の支配から解放したあとに式神契約をしたんだ。だからこれからはここに住む」
「え、マジで?」
そう言って白葉は俺の横にいた蒼の方向を向く。それに対して蒼はなんとも言えない表情で頷くだけだった。
「そ、そうなんだ。そ、それで、橋姫さんはどの部屋で寝泊まりするの?」
「いや、兄さんからは何も聞いてないから分からないけど……。とりあえず、霊化してもらえます?」
「霊化ですか? 分かりました」
橋姫はそう言って橋姫は霊化する。すると橋姫の姿が薄くなり、やがて消えた。
霊化は式神のみができる技。その姿を消すことが可能な専用技だ。
「それで兄さん? 霊化させたのはいいんだけど、これからどうするの?」
「とりあえず今日は俺の部屋で泊まってもらうことにして、明日他のことを考えるよ」
俺はそう言って入浴や歯磨きをする。それから自分の部屋のベッドに寝転んだ。そんなとき、霊化していた橋姫が姿を現し、俺に言った。
「一つお聞きしてもいいでしょうか?」
「ん? 別にいいけど」
「それなら聞きます。あなたが強くなろうとしている理由はなんですか?」
「俺が強くなりたい理由か、簡単なことだ。母親の仇を取りたいんだ、それが俺の強くなりたい理由、そして夢だ」
「母親の仇、ですか?」
「ああ、2024年の大阪大災厄で母が殉死したんだ。犯人は分かってる。国家戦力級魔人たちのリーダー格の国家戦力級魔人の秋平津鎌と日橋春磨だ」
「国家戦力級の魔人、ですか。私より遥かに強い敵です、今のままではとても……」
「分かってる、だから強くなりたいんだ」
「あなたは必死なご様子。あなたの母親はそれだけ立派な方だったんですか?」
「ああ。特級の異能術師だったんだ。なのに大阪大厄災では自分より強い国家戦力の妖魔や魔人を合わせて三体、同格の特級を七体、上級を数えきれないほど倒して大阪の人々を助けたんだ」
「なるほど。それは確かに立派な方だったんですね。私は今は悪神ですが、元々は守護神のような善神でした。だからこそ、その仇討ちに私も協力させていただきます」
「いいのか? 俺個人の仇討ちに協力してもらっても」
「ええ、あなたは式神である私の主ですので」
「ありがとう」
俺はそう橋姫にお礼を言う。
すると橋姫は俺に一言提案をした。
「国家戦力級の魔人たちと戦うつもりでいるならですが、もう一人、あなたの式神として紹介したい妖魔がいます」




