第6話 因縁の魔人
上空から降りて来た人は、ワクアグを一瞬見ると嫌な笑みを浮かべる。
「お前は何者だ! 所属と階級を言え!」
土御門夜橋がすかさずそう問いかける。すると男性はこちらを見てから答えた。
「ふっ、俺の名は三陸明土。偉大なる秋平津鎌様に従う魔人だ」
三陸明土。その名前に聞き覚えがある。うちの担任の三陸法土の兄。幼いころに国家戦力級以上の実力があるとされる大獄丸を肉体に宿し、自我を奪われた魔人。
三年前の大阪大災厄で出現した特級を超えた魔人、国家戦力級魔人の一体。
「に、兄さん、これ、ど、どうす」
俺が兄さんに聞く前に兄さんと土御門夜橋は俺たちや土御門夜那を守るよう、臨戦体制に入っていた。
「ほー、魔人と聞いてからすぐに臨戦モードに入るとは、なかなか良い。階級は分からないがだが上級や特級に違い実力を持っていそうだな。ま、それでも、敵にまではその目は届かないよな」
そう言われて俺は思い出した。それを急いで兄さんと土御門夜橋に叫ぶ。
「法土先生から聞きました! そいつの異能術は妖魔の支配です」
それを聞いた二人は目を見開き、土御門夜橋が急いでワクアグに止めを刺そうと動き出した。
「ふ、もう遅い。異能術・妖魔支配」
明土がそう言うと、ワクアグは黒色の塵へと姿を変え、明土の体内へと入って行った。
「特級妖魔の支配は完了、と。それじゃあ次は君たちだ。今から俺の支配した千を超える妖魔で蹂躙してあげるよ」
明土がそう言った時だった。二人の女性が明土の横に現れた。
「明土、何を道草食っている。津鎌様と春磨様がお待ちになっている、急ぐぞ」
「氷華か、少し待て。あいつらを始末してから向かうことにしよう。潜在的には、上級どころか特級、下手したら国家戦力級に並ぶ力を持っていやがる、今後計画を進める上で危険になるかもしれない」
「大丈夫だ。魔人ですらないたかが人間風情が我々の邪魔をできるとは思えん」
「だが、万が一があるかもしれかいだろ?」
「それなら私が連れて来た特級魔人を置いていくから、そいつに君の妖魔の支配権を譲ってくれ。そいつに始末させる」
そう女性魔人が言った時だった。もう一人の女性が口を開く。
「この者たちの処分はお任せ下さい」
「分かった。それからお前に特級妖魔、橋姫の支配権を譲ってやる。それでなんとかしろ」
「お任せ下さい」
そう言って明土は一体の妖魔を出すと、氷華と名乗る女性の魔人と姿を消した。
それから俺たちはその場に残った女性の魔人と妖魔と対峙することになった。




