第4話 中級ダンジョン
「あ、白鶴やっと来た」
中級ダンジョンの入り口で立っていた女性は兄さんにそう言った。
「兄さん、この人は知り合いなの?」
「ああ。名前は有島明、俺とタッグを組んでる中級異能術師だ」
「あ、自己紹介してなかったね。私の名前は有島明。大阪連隊所属の中級異能術師。人間系の異能術、四季表術を扱います」
異能術師はダンジョン攻略や妖魔討伐をする異能部隊に入るが、大阪連隊は近畿地方を守備し、近畿地方出身者が大半を占める。
異能部隊は六ある、中でも大阪連隊は精鋭揃いと聞いたことがある。何しろ、大阪大災厄で戦い、生き残った者の集まりだからだ。
俺が感心していると不意に有島明が口を開いた。
「君たちが白鶴の弟とその婚約者だね? 今回の中級ダンジョンは少し特殊だけど、まぁ大丈夫かな」
有島明と言う女性はそう言って俺と蒼の手を引っ張って中級ダンジョンの中へと突入した。
「ダンジョンってこんな感じなんですか?」
「ダンジョンによって風景は変わるんです」
蒼の質問に有島明は答えた。すると突如として、動物の形をした黒い生物が一斉に有島明に襲ってきた。
「危ない!」
蒼は叫ぶ。しかし有島明はその言葉が聞こえてくると同時に異能術を発動する。
「異能術・四季表術・夏・地獄の猛火」
有島明がそう言うと、黒い生物の大群の足元に魔力の陣が現れ、そこから巨大な火柱が現れた。
「え!? な、何これ」
驚き、腰を抜かして座り込む蒼のそんな言葉が聞こえてきた。無理もない。黒い生物は恐らく下位デーモン、一体一体が中級の実力をもつモンスターの大群を一気に全滅させたのだから。
おそらくあの異能術は四季に関係する言葉から連想できるものを召喚、あるいは具現化するタイプの異能術だ。
俺がそんなことを考えていると、俺の方にも黒い人型の悪魔が一体向かって来ていた。
「異能術・造化三神・高御産巣日・結界」
俺がそう言うと、俺の周りに結界が出現した。
これが俺の異能術「造化三神」。三つの能力があり、実力をつけていくことで、能力を一つずつ使えるようにしていく。この能力は元から使えたものではなく、新たに使えるようになったものだ。
そうしていると、黒い人型のデーモンは結界にぶつかり、吹っ飛ばされた。
「き、貴様。よくもこの私にこんな、地べたに倒れるようなことをしてくれたな」
そんな声とともに、さっき吹っ飛ばしたデーモンの体が真っ二つに分裂し、そのデーモンの死体の中から一体のデーモンが出現した。
出て来たデーモンはぐるりと俺たちを見渡すと気だるそうに言った。
「俺の名前はワクアグ。圧倒的な力を持った上位デーモンだ」
その言葉を聞き、俺と蒼は緊張を隠せずにいた。
上位デーモンは今までの下位デーモンとは別格の力を有する。人語を話し、異能術を扱う。上級異能術師の兄さんよりも上、特級に分類される大妖魔だった。




