第2話 異能学園
試験日から日曜日を挟んだ4月26日の月曜日の朝。俺は大阪府にある日中異能学園へ登校していた。その際に、急に背後から声をかけられた。
「明夜!」
「どうしたの?」
俺は声を出した人物、幼馴染の高槻蒼にそう聞き返した。
「土曜日は凄かったね。昇級試験を受けてたときに地獄系の話がだいぶ広がっていたよ?」
「マジ? 嫌だなー。てか、昇級試験を受けてたの?」
「え、うん。下級から中級異能術師に昇級することができたよ?」
「よかったじゃん」
俺と蒼は話をしながら異能学園に登校し、学園に着くと、俺たちのクラスの担任の三陸法土を待つため、教室の席に着席した。
一方でクラスの外には多数の見物人がこちらを見ていた。蒼は学園内でも人気が高い。短い赤髪をした美少女で、学園でも有数の実力者。人気になるのも頷ける。だからこそ、蒼が到着すると一斉に視線が集まる。
「毎度毎度すごい人気だな」
「好きでこんなんになった訳ではないんだけどね。それより、君の妹の白葉ちゃんだよ! 聞いたよ。低級から下級に昇級したって」
「あー、確かにそんなこと言ってたな。でも、それを言うならお前の妹もすごいじゃん? 白葉と同じで下級に昇級したんだろ?」
「うん。このままだと追いつかれそうですごく怖いかな? だからさ、ゴールデンウィーク明けの土曜日、2027年5月8日の昇級試験を受けるつもり、それに、もっとランクを上げて強くならないと、君にも置いていかれそうだしさ」
「まぁ、頑張りな。それより、今日兄さんが久しぶりに家に帰ってくるんだけど、兄さんがお前に会いたいって言ってるんだけど、どうする?」
蒼は少し考える素振りをしてから答える。
「んー、行こうかな。明夜の家でいいの? それと夜ご飯もお願い」
俺はそれに頷いてから蒼に聞いた。
「分かった。それにしても、どうして兄さんに会おうと思ったんだ? 今までは兄さんが声かけても来ることは少なかったのに。そんなに妹に追いつかれるのが嫌?」
「それだけじゃないよ? 上級になれば中級ダンジョンへの単独参加資格が得られる。私の父さんのこと、知ってるでしょ? 仇を取るためにも早く強くなりたいの」
俺は返す言葉が見つからなかった。蒼の父親は2024年の大阪大災厄で亡くなった。
ダンジョンは魔力で形を成したモンスターが住む場。ダンジョンは人から漏れ出た魔力の塊。
無魔力とされた者も僅かな魔力は持っている。これは魔力が生命力とも結びついているからだ。異能力者や異能術師は体内の魔力を制御できるが、一般人はそうではない。僅かに魔力が体外に漏れ出る。それが集まり、ダンジョンで形を成したもの、それがモンスター。ダンジョン外で形を成したもの、それを妖魔と呼ぶ。
異能力者や異能術師はこの妖魔の魂と人間の魂が混じりあうことで生まれるが、妖魔と人間側の系統が違うと、妖魔に自我を乗っ取られた魔人となる。
2024年1月1日、三年前に魔人の集団が暴れた。これが大阪大災厄。この災厄により、多くの異能力者や異能術師が殉職した。その中に蒼の父親も含まれていた。
「まぁいいや。それじゃあ兄さんには連絡しておくよ」
「お願いね」
この日は仇を討ちたいと言う蒼の言葉が頭を離れず、授業に集中できず、気づけば下校になっていた。




