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BB  作者: 浅見カフカ
ハルドゥの悪魔篇

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キース

アデルの森と教会の中間。建物が見えなくなるくらいの所にカモミールの群生地があった。

「採り放題だな」私はそう独りごちると、四つん這いで葉を摘み始めた。

そういえば収穫してくる量を聞き忘れたが、袋いっぱいに詰めて帰れば文句は無いだろう。

そうして夢中になって摘んでいると「何をしているんだ?」と声を掛けられた。

(ああ、またか)そう思って「お茶会の準備だよ」と言って振り向いた。

「そいつは優雅だな」そこには目を丸くしたクリスが立っていた。

「なんだ、クリスか」

「なんだは酷いな」

クリスは少し戸惑ったように頬を掻いた。

「ああ、悪い。自警団かと思った」

「自警団ってボニータ、お前なにかしでかしたのか?」

「濡れ衣だよ。街の構造と植生を調べてたら捕まった」

「いや、それは十分に怪しいだろ。植生は別として」

「その植生の方で捕まったんだよ」

「なるほど、だからハーブを摘んでいて自警団と思ったのか」

クリスは豪快に笑うと急に真顔で「どうして植生なんだ?」と尋ねた。

「えっ?そんなの——」そこまで言ったところで背筋に冷たいものが走った。

「なぁ、クリス」私はクリスの目を見詰めた。言っていいものだろうか。「——自警団の連中は、大麻草の知識はあるのか?」私はためらいながらそれを尋ねた。

大麻草を見たことのある若い世代はほぼいない——

それはアデルの森でクリスから聞いた言葉だ。

ならばその知識はどこから得ている?

どのようにして覚える?

あの善意の塊のようなゼンや、娘の身を案じて依頼したマスター、彼らが到底関わっているようには思えなかった。

「俺は自警団の仕事していないから分からないなぁ。でも俺が思うに、ボニータが考えているようなことは杞憂じゃないかな」

「そうだと思いたい。だが、何故そう言える?」

「自警団の中にも居るんだよ。恋人が行方不明になった男が」

「誰だ、ソイツは?どうして連中はそれを隠していたんだ!?」思わず無関係なクリスに詰め寄っていた。

「それはきっと——」クリスは言いかけて逡巡したが、一度唾を飲み込むと「死んだんだ」と言った。

「死んだって、まさか殺されたのか?」

「いや、事故だと聞いている」

「事故?他殺でも自殺でもなく、事故?」

「恋人の捜索をしていて獣に襲われたらしい」

クリスは首を横に振ってそう答えた。

「詳しい話は自警団のヘンリーに聞くといい。彼は亡くなったキースと仲が良かったから」

「ヘンリーか、アイツに捕まったんだよ」

「悪いやつじゃ無かっただろ」

「クソ真面目な良い奴だ」

私はクリスに礼を言うと、ハーブの詰まった袋を担いでブレアの元に向かった。



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