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BB  作者: 浅見カフカ
ハルドゥの悪魔篇

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15/22

地下牢

運んだワイン樽を蔵に移した。

カインはまだ樽の中で寝ている。

「どうやって屋敷に入れるんだ?」

普通に玄関から入れば誰かに見られるかもしれない。

「大丈夫。ここは貴族の屋敷よ」

ブレアはそう言うと、蔵の奥のレンガを外した。

「直すのが面倒だから、最小限だけ崩してね」

ブレアと二人で百本ほどのレンガを外すと、奥に扉が姿を現した。

「脱出用の地下通路よ」

ブレアはそう言うと、少しさびの浮いた鉄の扉を押し開けた。

魔術師ギルド以上に軋んだ音が、不快な金属音を伴って響いた。

ブレアの魔法が無ければ暗闇しかない通路だった。たとえ真昼でもそれは変わらない。一人が通るので精一杯の広さは、多勢の追跡者を寡数で迎え撃つためなのだろう。よく考えられている抜け道だ。

「なぁ、ブレア。この抜け道を作った奴はどうなったんだ?」

我ながら嫌なことを考えてしまった。

「そうね。作った人には知られてしまうわね」

「やっぱり、そうなるよな」

「貴族なんて身分、お父様が返上してくださって本当に良かったわ」

ブレアはそう言うと足取りも軽く、先へと行ってしまった。

どんどん暗くなっていく周囲に「ちょっと待てよ」とカインを背負った私は駆け出して背中を追った。

再び錆びた鉄扉が現れた。

その扉を手前に引くと、見慣れたレンガが積まれていた 。

「必要な分だけね」

また同じだけのレンガを外して出た先は、私設の地下牢だった。

「いい趣味してやがんな」

「貴族でしたから」

ブレアは答えにならない受け答えをすると「隣の房をカインの治療部屋にあてます」と言った。

鍵も掛かるし外から見える、なるほど理には叶っていた。

ブレアの精神魔法の効果で、翌朝にはカインは暴れることなく平静を保つようになってきた。

「保護されてから、ずっと禁断症状と戦っていたのね」

「周りも悪魔の仕業にして、大麻のことを疑わなかったんだろうな」

「そうね。それに私たちの多くは大麻についての知識が欠けていますし」

「駆逐した弊害か。遠ざけるだけじゃなくて、近付かない、気付ける教育も必要ということだな」

「もしも道端に自生していたとしても、知らずに通り過ぎるわね。そして、この街にはそれを知る人間が居る」

「ああ、それも邪悪な人間がな」

私はカインを預けて調査を再開することにした。赤ん坊のような喃語なんごを背中に聞きながら、必ず償わせると心に誓った。



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