9話『世界を繋ぐ』
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そこまで聞いて、引っかかったことがあった。
「俺が、居る場所……。そんな特別な場所だったか?」
セレナが真剣な表情になる。
「世界を越えることは、向こう側の協力者なくして果たせません。そして、実はもう私以外は脱出しています」
「でも、『この世界』は――」
やっていることは歴史改変ものと同じじゃないか、という心配にも、セレナは表情を変えない。
「ええ。無くなります。しかし正確には、『滅ぶ』のではなく『無かったことになる』と言う方が正しいでしょう。滅ぶことすら無かったことになりますし、宏明さんの世界から見たら、『物語は成立せず、切り離されて見えなくなった世界』になるでしょう。ごく普通の『剣と魔法と魔物が在る世界』になるのです」
それを、素直に喜んで良いのだろうか、と『一プレイヤー』としては複雑な気持ちだった。でも、それよりも。
「でも、俺の居る世界の神様って沢山居るけど……」
「ええ。その中でも、『人々を繋ぐ』役割を持つ方が、宏明さんの近くにいらっしゃいます。その上で、宏明さんの優しさを、ちゃんと観させて頂きたかったのです。私だって、元々は人間ですし、ちゃんと恋心はありますから」
「ん……?」
人々を繋ぐ神様って、思い当たる節しかない。
「お知り合いがよくお店にいらっしゃいますよね」
「あー……!」
どう考えても縁結びの神様ですね、そうですね。確かに創先輩が跡継ぎだし、お店にもいらっしゃるし。でも地元の伝説として残る神様ってそんな力があるのか? 謎が謎ばかり呼んでる。
「混乱させてしまって、すみません……」
「いや、ちょっとだけ納得はした」
頭を抱えても仕方ない。セレナがそう言うのなら、神様たちの接客を続けてみよう。
「って、今回あやかしの類じゃないのか?」
「この世界にもたくさんいたじゃないですか」
いやまあ、そうなんだけど。話が終わった途端、待ちきれないのか『呼ばれた』らしく、一気に眠気が襲ってきて、たぶん顔面から倒れた。




