10話『座敷童』
禁 複製転載・AI学習
「おきた!」
「おそいー」
子供の声。そして現在の視界は床。こっちでは寝落ちたままずり落ちて顔面を打ったらしい。ギリ鼻血にはなっていない。でもめちゃくちゃ痛い。
「……えっと、お客さんで、いいか?」
身体を起こして、目線が合うのでその場であぐらをかいて座る。
「うんっ」
「ゲームほしい」
目の前の2人は『座敷童』の双子だとすぐに分かった。こういう格好、昔話で見たな。俺は目つきの良い方ではないから、せめてもの気遣いと、トーンを抑えて話しかける。
「新しいやつ? それともすごろくみたいなやつ?」
「あたらしいやつ! やったことないから、やってみたい!」
「おかね、あるよ。あんしんして」
元気な方が答えてくれた後、大人しそうな方が『お約束』でちゃんと財布を見せてくれた。がま口って今なら小物入れのイメージだよなあ。と、それはともかくとして。
「……んー、テレビゲームは見たことある?」
「ある! さわったこともある!」
相手が見えないタイプの人間だったらビビるぞそれ。
「あとは、んー……せっかくだからサービスで一緒にやるか。お試しでデータを送るとやれるから、まず本体分の代金を貰って良いか?」
「ん」
立ち上がって、目の前のレジで精算を済ませた。素直に応じてくれるのがありがたいな。人間がやっているのを横から見て興味を持っていたんだろうか。
「よし。じゃあ……サクッと設定だけして、と」
箱から携帯ゲームをそれぞれ取り出し、無線LANに繋いで――と何やかんやして、どうにかゲームのお試しモードを起動させるところまでこぎ着けた。
「よし、お待たせ――」
集中していたら、構ってやれなかったのが悪いのだが、売り場が少し大変なことになっていた。俺の冷たい目線に気付いたらしく『やばっ』みたいな反応をしてから、そそくさと戻してくれた。……まあ、許しておこう。
「こういうパズルゲームとか、対戦とか。始めやすくて面白いやつあるかな」
自分のゲーム機を起動して画面を見せると、双子は嬉しそうに覗き込んできた。




