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神客万来!~月夜のデートは異世界で~  作者: うらひと
1章

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4話『老眼の龍神』

禁 複製転載・AI学習

「……さん、店員さんや、ちょっと良いかね?」

「ん……、あっ、はい! なんで、しょ……」


 起こされて顔を上げると、そこには(りゅう)がいた。

 ――が、思ったより体が小さい。


(おどろ)かせてスマンのう。知り合いの神様からここを(しょう)(かい)されての、探してる物を買いに来たわけじゃ」

「え、あ、はい……。 ご要望は」

(かい)(ちゅう)電灯と虫眼鏡をな」

「あー、はい」

 何が何だか分からないまま、夢の中で言われたことをぼんやりと思い出して、いつものお客さんのように接する。

 ――(りゅう)だけど、()(つう)にお(じい)さんみたいだ。虫眼鏡か……老眼鏡がいいか、それとも。

「本を読まれます? したいことによっては色々便利な物もあるんで」

「おお、そうそう。手紙を(もら)ってな」

「なるほど」


 (たな)の下の引き出しを(のぞ)いて、心当たりのある商品を探す。

(かい)(ちゅう)電灯は、暗い場所だからですかね」

「そうじゃ。小さな社でな、昔は田んぼが多かったから(あま)()いに力を貸したんじゃが、人も増えてすっかりやることが無くなってしまっての」

「……」

 ――神様は人が信じてるから居る、と(せん)(ぱい)が言ってたな。同時に、居て()しい神様を呼び寄せてた、とも。

「まあ、人間と同じように老後だと思えばいいんじゃが、力が弱まると老眼になるとは思わなんだ。はっはっは」

「あぁー……それは確かに」

 かっかっ、と笑う(りゅう)(じん)様に、()(だん)の客層を思い出して苦笑いしてしまう。お(じい)さんお(ばあ)さん、大変そうだもんなあ。


「もし()(つか)えなければなんですけど……どなたから」

「近所の(ぼう)()からじゃ。たまたま見つけてくれたみたいでの……しばらく通ってから、手紙を置いてくれた」

 しみじみと語る(りゅう)(じん)様は、何だか(うれ)しそうだった。まるで、初孫を見るようだった。


「……なんか、お孫さんみたいっすね」

 思わず、口調が(くず)れてしまうくらいには、こっちもほっこりする話で。

「はっはっ、確かに! 手紙も(もら)ったしの、願い事であるなら、出来る限り応えてやらんとな」

「ですね。……で、こんなのどうですかね」

「ほう。変わった虫眼鏡じゃの」

 四角く、持ち手にスイッチが付いた虫眼鏡。よくお(じい)さんが(つめ)切りするときに使ったりしているものだ。

「スイッチを()すと、裏の電球が()いて照らしてくれるんですよ」

「ほぉー……! ああ、確かにぴったりじゃ。人間も色々()(ふう)しとるんじゃなあ」

 感心感心、と気に入った様子だ。値段もそこまで張る物ではない……けど、代金ってどうするんだ? 

「ふむ、ではこれを頂こう。ちゃんとお代はあるから安心しとくれ」

「あっ、良かった……」

「お主らも()(すが)に商売だからの、困ることは出来んわい」

「ありがとうございます」


 お代を受け取り、レシートが印刷されるのを待っていると、ふわっ、と風が()()んできた。

「ああ、領収書は(だい)(じょう)()じゃ。それじゃあ、世話になったの」

 視界の(はし)に映っていた、明らかにこの世のものではない外の景色が、(じょ)(じょ)に元の景色へと(もど)っていく。

 不思議な客だった。でも確かに、セレナの言うとおり、()(つう)のお(じい)さんみたいだった。

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