3話『セレナの願い』
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洞窟に掘られた一室。灯りはあるけれど、少し手狭だ。もう少し見回していたかったが、すぐさま『その話というのがですね』と続いたので俺は背筋を正した。
「神様達にも、様々な暮らしがあります。本当に、人が暮らすように、人のように困っていることもあります」
ここまでで既に、現実味がなく困惑している俺をよそに、セレナは続ける。
「――宏明さん、貴方が普段しているような形で結構です。神様達の手助けをしていただけませんか?」
「普段の、ように?」
「宏明さんの暮らす国では、人々に請われて住み、人々に寄り添う神が、私の世界の比ではないほどにいらっしゃいます。中には、実際に人々に紛れて暮らす方も」
「……それは、何となく分かるけど」
――先輩が、『大昔に無くなった女性を祀っている』って言っていたし、妹さんも何か知っているらしい、と思ったことはあるな。
「形は様々ですし、大きな力を持っているわけではありません。気難しい方もいらっしゃいますが……普段の宏明さんって、お客さんが来た時は真面目にやっていますし、大丈夫ですよ」
まるで『ゲームだから知らないはずの俺のことを知っている』ように、俺の目を見て微笑んでいた。言っていることを飲み込もうとしている間に、俺の手にセレナの手が重なった。
「宏明さんが頑張るほど、その力を分けて貰えます。それが、この世界を救うことに繋がります」
「……お、おう」
綺麗な手を見て、思わず顔が赤くなる。間近で見るセレナの服は、舞うように闘う『踊り子』のもので、肌も綺麗だ。それでいて、弓使いの手は優しいながらもしっかりと包み込んでくる。
「――そろそろ、お客様がいらっしゃいます。私の膝を枕にして良いので、お休みになってください」
そう言われると、なぜか本当に眠気が強くなってきた。
「よろしくお願いしますね。『貴方を、信じています』」
ようやく『ゲームの中のセリフ』が繋がったところで、俺はまどろみの中へと沈んでいった。




